宿日直勤務(1)

CA3I0079
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(M氏寄贈)

ブラック企業のことを話題にしていたら、こんな新聞記事を見かけました。
基本的にブログの書き方としては、ひとつのシリーズが終わったら次にという書き方をしますが、今後話題性のある記事を見かけたら、そちらの話題について「割込む」ようにします。
次のようなニュースがありました。

7月22日 12時39分/NHK発
(千葉の県立病院 医師や看護師が無許可で当直勤務)

『千葉県にある6つの県立病院すべてで、労働基準監督署の許可がないまま、医師や看護師に深夜などの当直勤務をさせていることが分かりました。千葉県は、「これまでもたびたび許可を申請してきたが、認められなかった」として、労働基準監督署と引き続き協議を続けたいとしています。
病院で医師や看護師が深夜に待機や監視の軽い業務を行ったあと、翌日に通常の業務を行う「当直勤務」は特殊な勤務形態であるため労働基準監督署の許可を得る必要がありますが、千葉県がんセンターなど千葉県内にある6つの県立病院すべてで、許可を得ないまま、当直勤務をさせていることが分かりました。
千葉県によりますと、ことし5月、労働基準監督署から千葉県がんセンターの立ち入り検査を受け、勤務の現状について確認を求められたということです。千葉県は「これまでもたびたび許可を申請してきたが、『深夜の業務が軽い業務とは言えない』などという理由で当直勤務として認められなかった」としています。
千葉県は「当直勤務が認められないと翌日の勤務ができないため、医師などの数が足りなくなる」としており、労働基準監督署と引き続き協議を続けたいとしています。』

この記事について、感想を書く前に、「宿日直勤務」ということについて説明します。
宿日直勤務とは、労働基準法第41条により定められた「監視断続労働の一部」であり、
「拘束性の高くない業務」について、労働基準監督署長が許可し、その労働については、残業代や深夜労働手当を支払うことことを必要としないというものです。
(関連条文:労働基準法施行規則第23条)

具体例を挙げます。
「テレビを見てもいい。居眠りをしていてもいい。ただ、決められた場所に居て、電話がきた時だけ、対処してくれ。電話がかかってくるのは、2~3日に1回程度だ。」
というような拘束時間は、果たして労働時間でしょうか。昔は事故対応のため、工場に泊り込む人などが多かったので、このような労働態様も時々見かけました。つまり、「ある程度の拘束性は持つが、完全な労働時間とも言えないグレーな時間帯」というものです。
このような時間帯について、事業場が労働基準監督署に申請すれば「監視断続労働の時間」として認めてもらえます。監視断続労働の時間帯であれば、通常の労働時間としてカウントすることなく、特別な手当を支払えば良いのです。
(特別な手当とは、例えば1宿直勤務については、通常の日給額の3分の1程度)
また、この監視労働の時間帯に、緊急に「通常の労働」を行った場合は、その部分だけ、通常の労働時間としてカウントすれば良いのです。この「通常の労働時間」の割合が増えてくるのなら、これは「監視断続労働」の取消しとなります。

さて、私がこの新聞記事を読んで思ったことは、「千葉県がんセンター」の対応は少し「ズレ」ているのではないかということです。というより、事の重大さが分かっているのでしょうか。
(注)私の事実認識は、NHKニュースの記事を読んだことだけです。もしかしたら、深い事情があるのかもしれませんが・・・

(続く)