ブラック企業とモンスター相談者(1-6)

CA3I0403
CA3I0403

(M氏寄贈)

数日後に、申告者から連絡がありました。
解雇予告手当を請求したところ、支払いの意思はないとの返答を受けたとのこと。また、会社は解雇自体認めていないとのことでした。私は、直ぐに労働基準法第20条違反「解雇予告手当未払い」で、申告受理としました。

(注)解雇予告手当とは・・・労働基準法第20条には、「労働者を解雇する場合は、30日前に予告するか、もしくは予告期間に不足する期日の平均賃金を支払わなければならない」とされている。例えば、9月1日に即日解雇する場合は、30日分の平均賃金(ひと月分の賃金)を支払わなければならず、9月1日に9月15日付の解雇なら予告期間30日に不足する15日間分の平均賃金を支払わなければならない。予告期間30日間ならば、解雇予告手当は支払わなければならない。
ただし、この解雇予告手当は「解雇の手続」のために支払わなければならないものであり、解雇を正当なものとする訳ではない。解雇については、そもそも労働契約の一方的な破棄となるため、「正当な理由」が必要である。
労働者を解雇した事業主は、解雇手続きを違法なく行い、「正当な理由で解雇したこと」を証明できなければ、民事裁判等でさらに金品を労働者に支払わなければならなくなることもある。

(注) 労働契約も、他のすべての契約がそうであるように、A(事業主)とB(労働者)の約束である。この契約を終了させるには、A(事業主)が契約を切る「解雇」、B(労働者)が契約を切る「退職」、契約期間が満了となる「契約終了」「定年退職」等の3つのケースしかない。
契約は一方的に終了させた方が責任をもつ。つまり、解雇の場合は事業主が、退職の場合は「労働者」がその責を負う。
事業主が解雇等について、トラブルを起こさずに実施する方法としては、労働者に金品等を支払い、労働者から退職届を提出してもらう「依願退職」が一般的である。
この依願退職は、多くの企業の「リストラ」の時に多く用いられる。ちなみに、失業保険の支給については、「依願退職」は便宜上、「退職」ではなく「解雇」と同等に扱われる。
解雇等について、説明を始めると、とても長くなるので、取り敢えずこれで打ち切る。