労働災害が起きました(4)

CA3I1089
CA3I1089

(M氏寄贈 北國街道・海野宿)

災害は建設会社の倉庫の中で起きた。
海中工事を得意としている会社で、工事の合間に倉庫の中で備品等を整理している時の事故だが、被災者は2人。そのうちの1人が、ガス溶断器でドラム缶を輪切りにしてしている最中に、その缶が爆発したのである。

ドラム缶を半分に輪切りにして、部品入れ等にすることは、建設会社の資材置き場でよく見かける光景である。ただ、ドラム缶をガス溶断する時には、そのドラム缶に、かつてガソリンが入っていたものであるかどうかを確認しなければならない。2,3年前にガソリンを入れていたドラム缶で、その後ずっとからっぽだったというものでさえ、溶断している最中に爆発した事例は数多い。そのようなドラム缶は、最初から溶断しないか、窒素置換をしたものではないと溶断してはならないのだ。

(参考) 労働安全衛生規則第285条
事業者は、危険物が存在するおそれのある、ドラムかん等の容器については、あらかじめ、これらの危険物を除去する等爆発又は火災の防止のための措置を講じた後 でなければ、溶接、溶断その他火気を使用する作業又は火花を発するおそれのある作業をさせてはならない。

会社の事務所を訪ねると、工場長さんが出迎えてくれた。私はその工場長を立会人に指名した。
(注) 立会人がいることで実況見分調書は後日、刑事事件の証拠能力を有することとなる。1回の実況見分で複数の立会人は可能である。もし、刑事事件になった場合は立会人が証人に立つこともある。

私と新監は、まずカメラで現場を撮影した。
写真は、資材置き場の外形から初め、次に入口から建屋の中を撮影し、現場にせまって行く。それが基本である。後の書類に写真を添付する時に、その順序であると、現場を把握しやすいのである。実況見分の目的は記録と再現性であり、事故の5W1Hが特定できるものでなくてはならない。
新監は、言うだけあって、カメラの使い方には慣れているようだった。
これなら、撮影はまかせて大丈夫だなと私は思った。