長時間労働規制の問題点(5)

(横浜では桜の季節も終わりました・・・)

過半数労働組合が、36協定の締結者であること以外にも、労働基準法・労働安全衛生法の法規定上、重要な役割を果たすことは、今思い出せる範囲でもいくつもあります。
①  就業規則の意見書を出す
②  有給休暇の一斉付与の協定書締結
③  賃金控除の協定書締結
④  労働安全衛生委員会への委員の選出
また、労働法規に明記してなくても、
 「従業員の不法行為に対する懲罰委員会への委員の選出」
 「従業員を解雇する時の意見の提出」等
が過半数労働組合の業務の一部となっています。

さて、では「過半数組合がない会社」において、その代替をする者は誰でしょうか。それは、労働基準法等には「労働者の過半数を代表する者」となっています。
では、労働者の過半数を代表する者とはどのように選出されるのでしょうか。それが実は、労働基準法にも細部に渡る明確な規定はないのです。労働基準法施行規則第6条の2には、「会社の管理職が代表とはなってはいけない」「代表は挙手等の民主的な方法で選出されなければいけない」と規定されているのですが、具体的な手順について示されているものは何もありません。

例えば、会社が立候補者を募り、選挙を行い、結果を発表しても、それは公正な選挙といえるのでしょうか。会社が選挙の事務手続きにどこまで関与していいかは、一切決められていないのです。
選挙管理委員を、労働者から選んでから選挙を行えばいいという意見もありますが、選挙管理委員を選ぶ「選挙」をどうするかで、同じ問題が発生します。
客観的に見て、公正であることに会社側が細心の注意を払い、従業員代表の選挙を行おうとしても、立候補者がいない場合、会社側が従業員の1人を指名し、その人の信任を従業員全員に選挙等の方法で得た場合、その人は法に違反なく労働者の過半数を代表する者と言えるのでしょうか。その是非を問う判例等の資料は何もないのです。