長時間労働規制の問題点(16)

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(MOMA、in N.Y)

私は、このブログで現在の労働時間制度への提案を2つ行いたいと思います。

その一番目は
  「36協定による、労働時間上限制度の廃止もしくは緩和」
です。労働時間の上限規制を「労働組合」との協定でなく、労働者個人の契約に委ねてしまうのです。

現在は、「過半数組合」もしくは「過半数組合の代表者」が締結した協定によって、個人の労働時間の縛りができます。このブログで紹介したように、最高裁判例では、「36協定を締結したことにより、企業に残業をさせる権利」が発生しますので、36協定の範囲内の残業命令に逆らうと企業から懲戒処分される可能性があります。しかし、個別契約で各々の労働者が、「自分は何時間まで残業可能です。」と契約しておけば、この残業命令が納得できるのではないでしょうか。

ある会社がパートタイマーを、新たに2人雇用したとします。そのうちの1名のAさんは「自分は育児があるので、残業はできない」という立場であり、Bさんは「生活が苦しいので、少しでも多く稼ぎたいから残業したい」と思っていたとします。しかし、このAさんも、Bさんも、会社と労働者代表が予め締結していた36協定の残業時間の上限時間に従わなければならないのが実情です。

これを、Aさん、Bさんの個別契約により、「Aさんは、残業不可」「Bさんは、ひと月残業45時間まで」と出来るようにしたら、労使双方の益になることではないだろうか。

もちろん、この私の提案には次のような反論が予測できます。
「労働者は弱い立場なので、個別契約では、結局は使用者の言うことを聞かんばければならない」
「採用されるのは、残業不可のAさんではなく、残業オーケーのBさんのような人ばかりになる」
「36協定を締結した上で、個別労働者の意見を反映できるようにすればよい」
といったものです。