監督官の虚像と実像(3)

(湘南国際村からの富士山、by T.M)

皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。年末年始、多忙のためブログ更新をしなかったことをお詫びします。申し訳ございませんでした

今年は、元旦から嬉しいお客様が来ました。

遠くに除夜の鐘が聞こえてき頃、庭で猫が煩く騒ぐので、除いてみれば、なんとタヌキがいるではないですか。私と目をあわすとサッと逃げましたが、あれは間違いありません(アライグマやハクビシンとは違います)。以前このブログでも報告しましたが、昨年春に疥癬病の子タヌキが来て、毛がなかったので、かかりつけの獣医と相談して薬を飲ましてやったら、変な物を飲ませたと思われたらしく行方不明となってしまいました。どうやら、その子ダヌキが毛がフサフサした大人になって戻ってきた様子です。

野生の生き物ですから、これから彼(彼女?)がどうなるか分かりませんが、病気治癒のタヌキのご訪問とは、ともかく縁起の良いことです。

(ちなみに、タヌキは犬科です)

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(前回の続きです)

監督官が大規模な工場等を予告監督する場合は、1日がかりの複数の監督官によるもので、工場の協力会社を巻き込んだ大げさなものになります。そして、監督最後の「講評」の場面では、100人を超える関係者を前に工場の問題点を指摘し、工場長と対等に話をするので、監督官の姿はとても「偉そう」に見えます。しかし、それは誤解なんです。

私は、前述のような臨検監督が終わった後に、他の監督官と一緒に公用車で署に帰る途中に、地域のJRの駅で降ろしてもらい、駅裏のビルに中の風俗店を訪問したことがあります。客として行ったのではありません。賃金不払いの申告事件の調査です。「時間がないので、店が始める前に来い」という事業主の申し出を受けて、その時間に行ったものです。まあ、そこで散々どなられました。相手はヤクザ屋さんがバックにいるので強気です。「ケツ割って逃げたもんに何で金を払わなければならないんだ(「無断欠勤のまま、退職した労働者になぜ賃金支払いの義務がありますか」という意味)。

申告の内容の是非はともかくとして、数時間前に大企業の工場長と散々やり合ってきた自分が、今は同じ作業服姿のままで、駅裏の風俗店で事業主に怒鳴られているというギャップ感は、我ながら変な仕事を選んだものだと思ったものでした。

大規模工場の臨検を行うと、そのうち何件かは、工場の安全担当者から非常に感謝されました。安全衛生関係について厳しいことを言うのですから、安全衛生関係者から嫌われるかと思うとそうでもないようです。彼らはこう言いました。

「安全衛生部門は地味なところです。たまに監督署がきて、こういうことをやってくれると、私たちの発言力も強くなります。」このようなことを述べる安全担当者がいる工場で、事故が少ないのは当然です。

本省は「予告監督はダメだ」とことあるたびに言います。確かに、大規模事業場への予告監督はセレモニーとなってしまいます。しかし、セレモニーがまったく役に立たないかというとそうでもないことを、本省には知ってもらいたと思います。

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ここでブログを終わろうと思ったら、大変なニュースが飛び込んできました。星野仙一さんが亡くなったそうです。私がギランバレーで病院入院中にテレビで観た、楽天優勝の瞬間は絶対に忘れません。謹んで哀悼の意を表します。さようなら、「昭和の男」