働き方改革について(9)

(いすゞプラザにて、by T.M)

今日(5月6日)、ある工務店に依頼して自宅の改築をしています。大工さんが2人来ました。

連休の最終日の5月6日に作業をしたいと言ってきたのは工務店側です。作業をしていた大工さんに尋ねると、この工務店ではゴールデンウィークがないそうです。この期間は、工場等が機械を停止し休業しているため、その間に事務所内のレイアウト変更等の依頼が多くあるということです。

中小の工務店のとっては、正月は別だとしても、お盆とゴールデンウィークは稼ぎ時です。このような労働環境の実態は労働災害発生状況にも如実に表れています。お盆やゴールデンウィークは、死亡労働災害が増える時期なのです。工場の機械のメンテナンス等の非定常的な業務が増え、そしてその工期が短いため、事業場側の安全管理が行き渡らないため事故が起きます。そういえば、わたしも現役の頃に、よく盆休み中の工場に災害調査に行きました。工場の安全担当者が休みで、下請けの社長さんを立会人にして実況見分を何回かしました。

先日、労働安全衛生関係の雑誌を読んでいたら、私の知人の労働基準監督署長が、「2年続けて、正月に死亡災害の調査に行った」というような手記を載せていました。正月に死亡災害が起きたら、一般職員にその調査に行かせず、署長、副所長が対応をするのは監督署の伝統でもあります。

さて、東京オリンピックの国立競技場の建設現場は本日どうなっているでしょうか。多分、作業を中止しているはずです。大手の建設業者は、「働き方改革」のため積極的に休日を増やしているからです。しかし、その陰で、昨年この現場、若い現場監督が長時間労働の末に自殺しました。

建設業界では、長年の課題である「雨降り休暇」の問題も解決していません。これは、完全に労働基準法違反ですが、行政も見て見ぬふりをしています(こんど、機会があればこの問題を書きます)。

野党もようやく審議に復帰しますが、働き方改革が、建設業の現場の人たちに行き渡るのはいつだろうなと思いました。