バイトテロとコンビニ(8)

(横浜の水源地、青山浄水場とサクラ、by  T.M)

 

(大正の建築、逗子松汀園とサクラ、by  T.M)

「バイトテロとコンビニ」も今日で最終回です。

前回、コンビニ店舗の経営が上手くいく要素として、「最初の出資金の金額」を第一に挙げましたが、それはつまりこういうことです。

「土地・建物をオーナー自らが提供し、高い出資金を支払うケース」

「土地・建物はコンビニ会社が提供してくれるものを使用し、オーナー自らは、コンビニ会社の雇われ店長の形式で契約し、最低限の出資金を支払う」

といった2つのケースでは、コンビニ会社に支払うロイヤリティーが全然違うのです。

もちろん、後者で成功しているケースもあると思いますが、オーナーが圧倒的に過重労働となるのは、後者のケースです(地方都市では、売上げ自体が低く、前者の場合でもオーナーの負担が大きくなる場合もあるようですが)。

私は、コンビニのオーナー全てが、「労働者性」を有しているとは思いません。従って、先日、中労委がコンビニオーナーの団体と、コンビニ会社の「団体交渉」を認めなかったことについては、ある程度理解します。

しかし、私は個々のオーナーのケースを精査していけば、中には「時間的・場所的な拘束を受け、使用者に指揮命令される労働基準法上の労働者」となるケースもあり、将来はコンビニーオーナーが労災認定されることもあるような気がします。それは、出資金の少ないオーナーに多いように推察します。

「バイトテロ」と呼ばれている行為について、若者の教育が必要という意見がweb上に多くありますが、実は私は一番必要なのは「オーナー」の教育であると思います。

つまり、コンビニ各社が自らのブランドイメージを守るためには、「オーナーがどのように労働者を教育・管理しているか」を検討する必要があると思うのです。

しかし、コンビニオーナー自体の過重労働が問題とされるなら、オーナーは労働者に対する管理の力を発揮できなくなるような気がします。

コンビニオーナーが疲れていては、「アホな若者」を間違って採用してしまうかもしれませんが、そういう若者をオーナーが教育すること儘なりません。

このシリーズの最初に述べましたように、「コンビニの公益性」については理解しているつもりですが、だからこそ「若者の働く職場の形成」のためにも、コンビニ大手が各店舗のオーナー自身について、「働き方改革」の環境整備を進める時ではないでしょうか。 

追記

ふと気づきました。コンビニオーナーが、「カンビニ会社の労働基準法上の労働者」に該当するなら、そのコンビニ店舗で働いているバイトさん達は、すべてコンビニ会社の労働者ということになります。今後、コンビニ店舗で働いているバイトさん達が、労働条件等で不満を持った場合、コンビニオーナーを飛ばして、コンビニ会社と直接交渉するケースがでてくるかもしれません。あるいは、コンビニーオーナーとバイトさん達が協力し、コンビニ会社と相対することもあるかもしれないと思いました。