行政に苦情を!(2)

(豊橋の老舗デパート・ほの国百貨店と路面電車、by T.M)

最近のニュース、「高齢者の交通事故」について、本日書きます。

例の「高級国民」というネットスラングで話題になった事故についてです。この事故で、運転手がかなり責められています。災害の結果を見れば、当然ですが、私の実体験から考えて、警察での免許証の更新もかなりいい加減なんじゃないかなと思います(別にそのことで、今回の事故を発生させた被疑者の責任が軽くなる訳ではありませんが)。その経験を今日は書きます。

今から4年前の平成27年、場所は横浜市の港南警察署です。私は、警察から通知がきたので、自動車運転免許証の更新手続きをしに行きいました。その手続きの時に、いくつかの質問を記載した問いに答える形式の書類が渡されました。初めて行く病院で記入させられる問診票のようなものです。その中に次のような質問が記載されていました。

過去5年以内において、病気を原因として、身体の全部又は一部が、一時的に思い通りに動かせなくなったことがありますか?

警察が運転免許更新時に、このような質問を始めたのは平成26年からだということです。どうも、その前年に神経関係の疾患を持った方が自動車や重機を運転して大きな事故を起こして社会的な問題となったことが、このような措置をすることになった経緯のようです。

ところで、このブログで何度も記載しましたが、私は平成25年に、ギランバレー症候群が発症し、人工呼吸器に繋がれ、食事は鼻から栄養を補給する日々をひと月ばかり送りました。その後、リハビリが延々と2年間ばかり続くのですが、実はその時も手足はまともに動かず、声帯が半分動かないため呼吸が正常にできていませんでした。この呼吸障害がようやく正常になったのは昨年のことですし、手足の回復はまだ不十分で、指に力がないため細かい字は書けず、降り階段は手すりがなければ降りれません。

運転免許更新手続きには、港南警察署にはかろうじて杖を使わずに行き、書類は事前に妻に書いてもらいました。ただ、上記の質問書は書類を提出する直前に手渡されましたので、何とか自力で、警察署で自分の名前を記載し(住所の記載は不要な書類でした)、質問書に記載しました。そして、他の項目は、「該当なし」でしたが、上記の質問に対しては「該当あり」として、書類を提出しました。

すると、この書類を受け取った警察の職員がこう言いました。

「これじゃ、ダメだよ。これじゃ免許だせない。ここ書き直して。」

そう言って、書類を突っ返してきたのです。私が「該当あり」と記載した箇所を書きなおせと言っているのです。私は、最初にこの職員が何を言っているのだろうと思いました。警察の職員が免許の更新にあたり、嘘を書けと強要してくることが理解できなかったのです。

私が窓口でもたもたしていると、後ろに何人も並ぶようになりました。近くにいた妻も私のところにやってきて、

「何をやってるの」

となじりました。私は、「嘘を書きたくない」と答えました。私と妻のやり取りを聞いていた、警察の職員はようやく気づいたようで、私を免許更新申請者の列から外し、「ちょっと待って下さい」と述べ、ベンチに座っているように指示しました。

しばらくして、別室に通されると、婦警さんと面談しました。そこで、ようやく事情を聞かれました。病気のこと、入院していた病院のこと、リハビリの状況のこと、運転が可能かどうか、現在実際に運転しているのか等です。私は、すべて正直に答えました。

「私の身体の状況については、私の動きを見て、そちらが判断して下さい。医者は身体障害者手帳には該当しないとは言っていましたが、細かい字はまだ書けませんし、下り階段は手すりがなければ降りれません。運転が可能かどうかは、私にも分かりません。何しろ、10年以上自分で運転していません。今回、病気が原因で免許の更新ができないのなら、それはそれで仕方がないと思います。ただ、運転免許証は身分証明書として使用できるので、もらえるものならもらいたいと思います。」

婦警さんは、とても困った様子であちらこちらに電話をして調べていました。そして、何度も、「運転はしませんね」を私に確認し、1時間後くらいに、「免許を更新します」という決定となりました。

私は、少し拍子抜けしました。後日に二俣川の運転試験センター(横浜市民には馴染み深い所)で運転技術のチェックでも受けるものだと思っていたからです。

さて、これが私の運転免許更新のドタバタ劇のすべてです。私が思うことは、運転免許更新時における、警察のチェックはあまりに形式的過ぎるのではないかということです。「嘘の申請」をしろと窓口で指導することは論外ですが、「身体の異常」があるもの(少なくとも、そのように申告した者)をどう審査したらよいかが、けっこういい加減じゃないかと思います(まだ、事例が少なかったせいなのかもしれませんが)。

私の事例から考えるに、老人の運転免許更新についても、簡単に更新されているのではないかと推測されますので、今回の「高級国民」(ネットスラング)の災害を契機に少し対応を考えてもらいたいものと思います。

もっとも、こんなことを書くと、労働安全衛生に係る様々な資格(クレーン運転等)についてはどうなんだ、更新手続きもないじゃないかと言われてしまそうですが・・・

 

追記

老人が運転免許証を手離さない理由のひとつとして、「写真付きのID(身分証明書)」として、これが便利だからではないでしょうか。私の場合、運転免許証を手離してしまえば、他の写真付きIDとしては、マイナンバーカードしかありません(パスポートには「住所」の記載がありません)。マイナンバーカードを常時携帯するのは嫌なので、運転免許証にかわる公的IDがあれば、老人の運転免許証返納が進多くなるのではないかと思います。