悪徳コンサルタント・退職代行(1)

(大菩薩の山並み・山梨県甲州市、by T.M)

最近、退職代行業が益々盛況だという話です。ブラック企業では、従業員を脅かし、なかなかやめさせてくれないところが多いから、労働者に代わって、「会社に電話連絡し」、退職の意思を伝達してくれるそうです(「退職手続」の代理は、弁護士でないためできないから、「意思伝達」のみ行うそうです)。

長年、監督官と労働者や事業主の間のトラブルを見聞してきた私にとっては、この商売は少々危ないものに思えてしまいます。弁護士資格をもたない者、あるいは労働組合でない者が電話をかけるだけで報酬を得ることに違和感を覚えます。「やめます」の一言を、せめて労働者は電話越しでもいいので、言うことはできないのでしょうか。 (注) 世の中には、「弁護士資格」を持つ者が退職代行をしたり、あるいは組合加入者の退職手続きを行う労働組合があるということですが、このような「正当な行為」を行っている者を非難するつもりはありません。

 

こんな新聞記事を見つけました。

大相撲宮城野部屋の幕内・石浦と幕下力士が4日、都内で相撲を取る稽古中にヒートアップしてケンカ騒動を起こし、横綱・白鵬が仲裁する場面があった。 お互いが拳を振るってしまい、師匠・宮城野親方(元幕内・竹葉山)は両力士を厳重注意。闘志むき出しの稽古中の出来事とはいえ、日本相撲協会は暴力根絶に取り組んでおり、同親方は「熱くなっても悪いことは悪いこと」と速やかに事実を協会に報告したと明かした。幕下力士は「稽古場のことなので…」と話し、石浦も「冷静にならないとダメですね」と猛省していた。

監督署に相談に来る、労使間のトラブルの中には、上記のような人間関係のトラブルも多く存在します。上記のケースも幕下力士は「パワハラを受けていて我慢ができなかった」ということが現実かもしれません。

なんの根拠もなく、「先輩」が「後輩」を上から目線で見る・・・こんな習慣は確かに馬鹿馬鹿しく、理不尽なものですが、そのようなトラブルから退職にまで行くケースを何回も見てきました。それが人間の社会だと言ってしまえばそれまでですが、そういったトラブルが原因で退職代行を頼み退職したとしたら、なぜだという疑問を私を感じます。

人間関係のトラブルと労働契約の「義務と責任」は別のものだと考えるからです。

退職代行を使わずに、自分で会社に電話をかけることはできない。そこまで「追い込まれている」という人も確かにいると思います。しかしまた、「会社に対し、後ろめたいことをしたから、自分で電話ができなというケースもあるのではないでしょうか。

(例)「なんとなく仕事が嫌になってしまって、ずるずる無断欠勤を続けてしまった。やめようと思うが、電話しずらくて退職代行に頼んで代わって電話をしてもらった」というケースもありそうな気がします。

さて、悪徳コンサルタントが、ある会社の社長から

「従業員が欠勤したと思ったら、退職代行業から電話がかかってきた」

というような相談を受けとしたらどうアドバイスするか。次回に考えて見たいと思います。