韓ドラと労災と

(津久井湖鳥瞰・相模原市緑区、by T.M)

今日は前半は私の趣味の話です。「労働問題ネタ」は後半します。

テレワークで巣ごもりしていたら、カミさんが一日中私が居ることにイライラしているようなので、NetfliXに加入しました。カミさんは、韓国ドラマの「愛の不時着」を一気見してご機嫌でした。カミさんから、NetfliXの韓ドラを観ることを勧められたのですが、ナショナリストの私としては、頑なに「日本のドラマ」の方が面白いからと信じていました。

ところが、ひょんなことから韓ドラ「アルハンブラ宮殿の思い出」の第1話を観てしまったところ、完全にハマってしまいました。1話70分のドラマを16話を2日で一気見しました。因みに、このドラマは従来の韓ドラファン(中年以降の女性ファン)からはとても評判の悪いドラマです。それもそのはずだと思います。ドラマ題名及び紹介動画から。内容を想像すると「ラブストーリー」のような気がするのですが、実際は「SF・ファンタジー」系の物語であり、「ゴジラとガメラ大好き、宇宙戦艦ヤマトを夢見て、萩尾望都がなつかしく、勇者ヨシヒコに共感するという60代のオタク男」の琴線に触れる物語です。何よりも映像が素晴らしかったです。韓ドラの奥の深さに驚きました。

こんな訳で、立て続けに「VAGA BOND」「梨泰院クラス」を一気見しました。「梨泰院クラス」を観ている時に、週刊少年ジャンプに連載中の国民的マンガ「ワンピース」をオマージュしている箇所が随所に見られ嬉しかったです。それもそのはず、「梨泰院クラス」は、韓国のweb漫画が原作だそうです。

主人公は自分の居酒屋を大きくすることを夢見ていますが,どんな経営者になりたいか尋ねられたところ、「誰よりも自由な経営者になる」と答えました。これは、ワンピースの主人公のルフィが常々言っている言葉と重なります。「オレは海賊王になる。海賊王とは一番自由なヤツだ」

また、梨泰院クラスの主人公が、ミスをした部下をかばう時に、「その仕事はオレが命じたものだ」と言うセリフは、ワンピースの中の「頂上戦争」の場面で、「白ひげ」が言った有名なセリフです。何よりも、梨泰院クラスの中で、主人公の参謀となる女性が主人公に言う言葉です。「私はあなたの、諸葛孔明・レイリー・マーリンのような存在となる」。このレイリーがワンピースの中で、主人公ルフィーを導く「冥王シルバーズ・レイリー」を指すことは言うまでもないことです。
(韓ドラとワンピースについて考察する、還暦過ぎの私はおかしいでしょうか?)

ここから「労働問題ネタ」を書きます。

そんな「梨泰院クラス」の物語の中で、少し気になる場面が出てきました。主人公が過去10年間の間に2回、体に大きな裂傷を伴う大きな労災事故にあったという場面です。これは、現在の日本では、ほぼあり得ません。

日本の雇用者数は約5700万人、年間労働災害発生件数は約13万件(2018年統計)。ハインリッヒの法則から、重大災害は労働災害発生件数の約30分の1と考えられるので、10年間に2回の大きな労働災害に被災する者は約200万人に1名です。私の罹患したギランバレーが10万人に一人の難病と言われていますから、これは相当に希少な数字です。

(注)「ハインリッヒの法則」については、日本の労働災害発生状況がその法則どおり動くかは確証がありません。

もちろん物語の流れの中で、このような場面が描かれた訳ですから、これが真実な訳ではありません。でも気になったので、韓国の労働災害の発生データを調べてみました。すると、驚くべき数値がでてきました。

韓国の労働災害発生率は日本の約2.2倍、死亡災害の発生率は約5.5倍
(注) データの出典元は、「中災防HP・海外トッピクス・韓国労働災害統計」
2017年統計 災害発生千人率「日本2.2、韓国4.8」 死亡災害10万人率「日本1.9、韓国10.5」 

韓国の労働災害が多いのは、労働安全衛生を専門とする者の間には有名でした。私が監督官になった今から約40年ほど前に、造船業者からこんな話を聞きました。
「ある造船業で、1年半の工期の新造船建造中に2人の死亡災害を発生させた。船主(米国の会社)に謝罪したところ、次のように言われた。『同型の船を韓国で作ってもらったところ、工期は6ヶ月だったが、死者は20名だった。だから、いちいち報告しなくてよい』」
当時の両国の安全管理水準の差は、現在では考えられないほど大きかったようです。

日本は現在、半導体・造船で韓国に遅れをとり、どうやらドラマでも韓国に負けているようです。でも、このような安全管理水準の状況で、日本は常にトップランナーでいて欲しいと思います。
そして、韓国については、日本の災害発生率をいつの日か下回って欲しいと思います。
こういう数字の競い合いこそ、両国はすべきであると思います。

(注) 世界的に見るとEUの労働災害発生率がずば抜けていいんだけど(特に英国)、どうも統計の取り方に差があるような気がします。