大阪と横浜の逆転

(関ケ原古戦場決戦地・岐阜県関ヶ原町、by T.M)

お久しぶりです。3週間ぶりのブログ更新です。本当にこの期間は忙しかったです。私の、仕事は主に講演(教育を含む)と安全診断で、仕事がある時は現場に直行直帰しますが、この3週間で、職場に顔を出したのは2日だけでした。つまり、それだけ仕事が立て込んでいた訳です。私が、もしフリーランスのコンサルタントなら、この忙しさは歓迎すべきものでしょうが、現実は私はサラリーマン。いくら忙しくても給料は余計にはでません。ボーナスも、組織全体の売り上げが落ちているので、昨年よりかなり減額されそうです(この時代に、もらえるだけ、マシかもしれませんが・・・)。来年は、組織が抱えるコンサルタントの数も減るようなので、ますます私の仕事が増えそうです。このブログもいつまで続けられるか不安です。

閑話休題(それはさておき)、最低賃金の話を書きます。毎年10月に改正されるが恒例となっている最低賃金が、今年はどのくらいになったのだろうと思って、一覧表を見ていたら、改正されていない都道府県が複数あって驚きました。東京都も大阪府も昨年から変わっていません。調べてみると、7月に「新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済・雇用への影響等を踏まえ、引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当」との答申が中央最低賃金審議会から厚生労働大臣になされていました。

阪神淡路大震災も時も、リーマンショックの時も、東日本大震災の時も、最低賃金が上がらなかったことは、今までなかったことです。こんなコロナ禍にあって、最低賃金を上げることなどとんでもないと思っている方もいらっしゃると思います。しかし、仕方がない事とはいえ、労働者の生活を守る最低賃金の据え置きは、労働行政に身を置いてきた者にとっては残念な気がします。

最低賃金の一覧表を見てて気づいたことがあります。それは「大阪と神奈川の逆転」です。私が労働基準監督官となった1984年の最低賃金なんですが、

    東京都  時給463円

    大阪府  時給450円

    神奈川県 時給445円

でしたが、現在は

    東京都  1013円

    大阪府   964円

    神奈川県 1012円

であり、大阪府が神奈川県に抜かれています。因みに、最低賃金額が高い方からのベスト3はこの3県で、40年以上変わりません。大阪と神奈川がいつ逆転したのかを調べてみたのですが、1999年からのようで、1994年から1998年まではまったく同額で1993年までは大阪の方が上です。

どうも大阪の最盛期はこの1993年のようで、この年の大阪と東京の最賃額は620円で同額ですが、現在は大阪の最賃額の対東京比は95%まで下がっています。阪神淡路大震災は1995年のことですが、やはりそのダメージは大きかったのかなと思います。

もうひとつ、最低賃金額で比較したいのは、初任給との差です。厚生労働省が発表している賃金構造統計調査によると、大卒の初任給は、

   1984年 132000円

   2019年 206700円

です。つまり、この35年間に前述の最低賃金は約130%増加したのに対し、初任給は約60%の増加しかしていないのです。これは、「最低賃金額が上昇し、格差がなくなってきた」と考えるのか、「初任給が相対的に安くなっている」と考えるのかは微妙ですが、社会の平均的給与額が最賃額と近づいているのは確かなようです。