(写真、by T.M)
第2次安倍内閣が始まって以来、労働行政は生き生きとしているような気がします。「働き方改革」というものは、一種の革命のようなものでしょう。労働行政は官邸から、その先兵を仰せつかり、すっかりその気になっています。
また、労働行政は、多分今が過渡期なのでしょう。例えば、神奈川労働局ですが、組織の中の労働基準監督官の人員構成は歪な形であり、平成28年から平成33年の6年間に、全体の約4分の1が退職してしまいます。もちろん、再雇用や新人の補充ということで組織は維持されますが、署長等の幹部職員が一新され、「働き方改革」に合わせた組織変更がなされますので、5年後は現在とはまったく違った組織になっていることが予想されます。
この新しい組織で、世の中に対し色々なアプローチをしていくことと思いますが、その手法が少し荒っぽいかなと最近思うようになりました。
長時間労働の「摘発」ばかりで、次世代の新たな「労働の姿」というものを、行政は果たして思い描いているのでしょうか。もちろん、労働行政の目的とは、「法遵守」を企業に促すもので、その後のことは企業自体が責任をもって変わっていくことであるという考えはありだと思います。しかし、それはある意味、「無責任」と言われても仕方ないような気がします。
先日、宅配業界最大手の「ヤマト運輸」が非正規職員5000人を正規雇用することを発表しました。これは嬉しいニュースです。そして「ヤマト運輸」を次世代の労働形態に目を向けさせたきっかけのひとつは、監督署が指導した例の残業代不払の事件であったと思いますし、それを摘発した監督官とその指導に対し真摯に対応した企業に敬意を表したいと思います。
そのような成果はあるのですが、これはいかになんでも無理筋だよ。是正勧告書ひとつでかわるはずがないと思われる「摘発」もあります。それをこれから何回かに分け書こうと思います。
まずは「教師の労働時間」についてです。
(続く)