爆発災害について(2)

(真岡鐡道、by T.M)

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。 

前回に続き、札幌の爆発災害について書きます。

爆発したスプレー缶の販売元が、スプレー缶の内容物(消臭剤)のSDSを公開しました。SDSとは労働安全衛生法で規定されている、化学物質の成分表示等を記載し、ユーザーに通知するように求められている文書です。

まず、この公開されているSDSが、スプレー缶のものとするには、私には少し疑義があることを指摘しておきます。(私の勘違いだったら、ごめんなさい)

その理由は、公開されたSDSと、スプレー缶に印刷されていた注意書きの相違です。

まず、SDSに記載されている成分表示は次のとおりです。

(SDS記載の成分表示)

そして、スプレー缶に印刷されている表示は次のとおりです。

(スプレー缶に表示)

SDSの方は、エタノールの含有量が重量比で50~70%となっていますが、スプレー缶の表示では、容積比で全容量の10分の1となっています。(スプレー缶の容量が200mlに対し、アルコール類は20ml)エタノールの比重は約0.8です。SDSで示されてる重量比とスプレー缶表示の容積比ではまったく違います。

(注)エタノールは「エチルアルコール」のことで、お酒等に入っているアルコール。労働安全衛生法では「引火性の危険物」に該当します。

私の想像ですが、この理由は

  ① スプレー缶の内容物はSDSの対応物を水等で希釈したもの

  ② スプレー缶の内容物はSDSの対応物であるが、スプレー缶の表示を変えたもの(虚偽表示)

まさか②であるなら大問題となりますので、そうではないと思います。多分、①であろうと推測し、話を進めます。 

スプレー缶の表示から、スプレー缶はH販売会社が販売していることが分かります。SDSの製作者は、I製造会社(静岡市駿河区)です。ここで、今回爆発したスプレー缶の溶剤に関係する化学物質について、I社が製造しているものを、原液Aと呼びます。そして、H社が販売しているものを希釈液Bと呼びます。

前回のブログで、今回爆発した化学物質が「業務用」のものであるか、「一般用」であるかで労働安全衛生法の取扱いが違うと説明しました。例えば、「業務用」であるなら、製造者はSDSを作成し、ユーザーは労働安全衛生法第57条の3に基づくリスクアセスメントを実施しなければなりません。「一般用」なら必要ありません。

SDSの有無から判断が作成されているところから考えると、I製造会社は原液Aを「業務用」として製造販売し、H販売会社は希釈液Bを「一般用」として販売していたのではないでしょうか。

インターネット情報によると、希釈液Bはホームセンタ等で販売されてなく、事実上業務用であったという噂があるようですので、労働基準監督署の調査が事実関係を明らかにしてくれることを期待したいと思います。この「一般用」と「業務用」の取扱いの相違が、今後の捜査に影響を与えるような気がします。

(続く)