パワハラ教育について

(小森川林道を行く・山梨県北杜市、by T.M)

8/18(水) 20:04配信 読売新聞オンライン

 部下に暴力を振るったとして、埼玉県警は18日、大宮署の男性警部補(39)を暴行容疑でさいたま地検に書類送検した。部下3人に暴言を吐くパワーハラスメント行為も確認され、県警は同日、戒告の懲戒処分とした。

 発表によると、警部補は5月12日夜、さいたま市内の居酒屋に呼び出した部下の男性巡査部長に胸ぐらやあごをつかむなどの暴行を加えた疑い。警部補は酒に酔っていて、「態度が気にくわなかった」と説明。同市内では当時、新型コロナウイルスの感染拡大で「まん延防止等重点措置」が適用されており、県警は飲食を伴う会合の自粛を通達していた。

 また、県警の内部調査で、警部補が数年前から部下3人に対し、「育った環境を疑う」「精神科に行った方がいい」などと暴言を吐いていたことも判明。警部補は「早く一人前にしたかった。適正な指導だと思っていた」と話しているという。

このコロナ禍にあって、埼玉県警何やってんだと言いたいような記事です。しかし、パワハラって多いですよね。「管理職教育」何やっているんでしょう・・・

という訳で、今回は「教育」の話です。

「職長教育」の講師を、私は年に10回以上やってます。「職長教育」とは、労働安全衛生法第60条により規定された教育で、製造業や建設業の職長(5~20名の職員のリーダー)となる人が受講しなければならないものです。製造業の場合は、講習時間12時間で、教育の目的は、労働安全衛生及び労務管理について、職場リーダーの基本的知識を得ることです。

この職長教育が、他の法定講習と違うことは、「討議法」で行われるということです。「討議法」とは、ひとつのテーマを数人で討論する手法ですが、これがけっこう評判が良いものです。受講生たちは、ただ聴講するだけの教育と違い、自分の意見を持つことが義務づけられ、それについて他者とコミュニケーションを取るというで、講義内容の深い理解が得られるようです。

そんな受講生の満足度が高い職長教育ですが、講師として私が悩むことがあります。それは、「労務管理」をどう教えるかということについてです。

職長教育の内容は90%が労働安全衛生に関することで、労務管理に関することは10%ぐらいです。労働安全衛生のテーマである「リスクアセスメント」「災害調査」「作業手順書の作成」等については、質の高い教育をしている自負はあります。でも、職長が部下に対し「どのように指示するか」「どのように個人面接するか」等の労務管理のテーマになると、私は原則論を述べるに留まります。例えば、次のようなことについてです。

「コミニュケーション能力」「知識技能の力」「人を育てる力状況を総合的に把握判断し対応できる問題解決力」「率先垂範しルール違反者には厳しくいさめる実行力指導力」等

教えていて恥ずかしくなります。これらのことは、私が行政の中にいて部下を持っていた時に、まったく出来なかったことだからです。部下に嫌われたこともあります、部下の信頼を失ったこともあります。今でも、その時にどのように部下に接してたらよかったのかは分かりません。

でも、完璧な上司っていなかったような気がします。

労務管理のことに悩む講師が基本的なことのみをテキストに沿って教える。労務管理の研修っていうのは、結局どこもそんな物じゃないでしょうか。

冒頭のパワハラの警部補も「管理職研修」は受講していたと思います。しかし、労務管理の能力は身につかなかったようです。というか最初から身につける気などなかったのかもしれません。

部下を持ち管理するということは、その人の知性と誠実さの総合力なのであって、講義で基本事項を教えてもらっても、それを育てる地力がその人にないと、育たぬものなのでしょう。

パワハラで苦しまれれていらっしゃる方々、パワハラをする者の多くは実は「パワハラ」をじている自覚はあるものです。なぜなら、パワハラ教育等を受講している人が多いからです。それでも、パワハラをするということは、いじめっ子がいじめをすることと同じで、非常に低レヴェルの倫理観をもっている人です(仕事の能力は知りませんが)。

問題がおきた時は、コンプラインス委員会へ申立しましょう。そのような人には、それしか解決策はありません。それができない時は、労働局の相談コーナーに行きましょう。