(カモのお散歩・智光山公園、by T.M)
Jcastニュース 10/24
辞めたい社員に代わって退職手続きを請け負う「退職代行サービス」。2017年頃に生まれたサービスとされるが、どのくらい広がっているのか。
就職情報サイトのマイナビ(東京都千代田区)が2024年10月3日に発表した「退職代行サービスに関する調査レポート(企業・個人)」によると、退職者の6人に1人が利用している。
「退職代行サービス」の記事を読むたびに、私は気になることがあります。労働者からの「退職代行サービス」を真似て、経営者側の「解雇代行サービス」という仕事も生まれてくるんじゃないかという心配です。ある日突然、次のようなメールやLINEが労働者に送られてくる可能性があるのではないでしょうか。
「いつもお世話になっています。当社は気の弱い経営者や、解雇を伝えることに煩わしさを感じる経営者のために所属労働者に解雇をお伝えする解雇代行サービス会社です。当社の依頼主様は貴殿を、今日付けで解雇します。貴殿は明日から、依頼主様の会社へ出社しないで下さい。もし、会社にいらした場合は、会社に無関係な者が来社したということで、不法侵入として警察に通報する場合があります。貴殿が、会社に置いてある私物はすべてご自宅に送付します。労働基準法第20条に基づく解雇予告手当及び未精算の給与と退職金は本日貴殿の銀行口座に振り込んであります。離職票等の解雇に必要な書類は明日中に届くはずです。労働基準法第22条に基づく解雇理由を明記した退職証明書ですが、これは貴殿から請求されなければ交付する必要はないのですが、既に作成してありますので、これも他書類と一緒に送付します。もうこれ以上、会社関係者は貴殿と接触はいたしませんが、もし貴殿が労働組合に加入し、団体交渉を望まれるのなら、当社にご連絡下さい。当社は、弁護士と契約していて、そのような場合についても、対処できるような会社です。また、労働契約法第16条に規定された解雇権の濫用当について訴訟される場合は、裁判所からの通知を得てから対処します。さて、本日まで、依頼主様の会社にご在籍し、業務を遂行して頂いたことに依頼主様に成り代わり感謝申し上げます。まことにありがとうございました。貴殿の今後のご活躍をお祈りします。」
労働契約とは、「事業主と労働者が、労働者が働き、事業主がその対価を支払う」というものです。基本は売買契約と同じですが、それでは弱い立場の労働者が不利になるということなので、労働基準法等の労働者保護法規があるのです。ただ、根本の契約の部分は一緒であり、契約の途中解除については、「労働者側からの通告(退職)」か「事業主側からの通告(解雇)」しかありえないため、「退職代行サービス」があるなら「解雇代行サービス」も理論的にはありうるのです。
ここまで記事を書いていたら、「船井電機倒産」のニュースが飛び込んできました。従業員は、倒産する日まで何も知らされてなく解雇されたとか・・・ 私の想像の世界にあった「解雇代行サービス」が現実化されるようで、何か恐い気になりました。