ブラック企業とモンスター相談者(1-10)

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(M氏寄贈「東天狗岳」)

そろそろ、この「ブラック企業とモンスター相談者」の章を一度終了しますが、最後にもう一例だけ示します。

今年から雇用環境均等部となった旧雇用均等室には、セクハラの問題を担当する部署があります。(私のような旧い人間には雇用ナンチャラ室と言うよりは、昔のとおり「婦人少年室」と呼んだ方がしっくりするのですが・・・)

セクハラとは具体的にどんなことだということについて、厚生労働省等のパンフレットでは、事例として「身体を執拗に眺め回す」という行為を挙げています。

ある日、雇用均等室に二人の女性が相談に来室されました。お一人の方は中年で「上司」の方で、もう一人は若い方で「部下」ということでした。何でも、お二人の職場では、その上司と部下の間に、「主任」という職の男性職員がいて、仕事中に若い方を「嫌らしく眺め」、セクハラをしているということでした。会社としては、その「主任」をどう処分するかを検討中との相談でした。

その2人が雇用均等室に相談にきた日に前後して、その会社を管轄する労働基準監督署の総合労働相談コーナーに、ある男性が相談に来署しました。会社内部でイジメに会っているということでした。その男性は、「主任」という役職で、女性の上司と部下に挟まれた立場で、2人からいつも「気持ち悪い」と陰口を言われているそうです。あげくに、「目つきが嫌らしい」という理由で、処分されそうだということでした。

職場の中には、様々な人間関係があります。そして、事業主と労働者が「契約」という概念で結ばれた、民事的な関係もあり、さらにそれが刑事罰を伴うように法律で規制されています。行政の立場に身を置いていた時に、この「人間関係」と「契約関係」の相克に悩む人たちを多く見聞してきました。それを、今後も書いていこうと思います。

(取り敢えず、終り)