教員の給与

(青い花ネモフィラ・秩父高原牧場、by T.M)

6/11 NHK

残業代の代わりに支払われている教員給与の上乗せ分を引き上げるための改正法が、参議院本会議で与野党の賛成多数で可決・成立しました。

公立学校の教員の給与は、勤務時間の線引きが難しいとして、「給特法」と呼ばれる法律に基づき、残業代の代わりに一律で月給の4%が上乗せされています。

改正法は、処遇改善に向け、この上乗せ分を来年から毎年1%ずつ引き上げ、6年後には月給の10%にするとしています。

また、働き方改革も進めるため、教育委員会に対し、教員の業務量を管理する計画の策定や、実施状況の公表を義務づけることも明記しています。

さらに、負担軽減の観点からも、若手の教員のサポートや、校外の関係者などとの調整役を担う「主務教諭」という職位を新たに設けることなども盛り込まれています。

改正法は、衆議院で与野党協議を経て、4年後までに教員の時間外勤務を月平均で30時間程度に削減する目標などを付則に盛り込む修正が行われ、参議院で審議されてきました。

教師の労働についてなんですが、難しいのは「労働時間とプライベート時間」の区別がつかないということです。「夜回り先生」という方がいました。なんでも、夜中に繁華街で生徒を指導していたそうです。これはとても立派な行為だと思います。でも、この先生が夜中に生徒を指導中に事故で死んだら、はたしてそれは労災(公務災害)でしょうか?

これは夜回り先生だけの話ではありません。教師が休日に生徒の不適切な行動を見つけ注意し、事故にあったら、それは労災でしょうか?

私は労災認定が当然だと思いますが、それでは前述の「夜回り」の時間や、「プライベート」の時間に残業代が払われるべきでしょうか? それも何かおかしい気がします。

こう考えていくと、一律10%の手当てというのは、ある程度合理性があるような気がします。

しかし、ここで注意しなければならないのは、「ある程度」の合理性であって、無制限に労働時間を延長することではないということです。10%が支払われているからといって、授業終了後の部活動の顧問を強制されたり、修学旅行での長時間労働を強制されたりすることはおかしいのです。

いつもの、私の主張に戻りますが、「日本中の学校で修学旅行を廃止」しましょう。例えば、2泊3日の修学旅行では教師は72時間連続労働となります。教育委員会が作成する計画表では「休憩時間」等が記載されているそうですが、実際は、その休憩時間とは「何かあった時に連絡が取れること」が強制されているのではないでしょうか?それは休憩時間ではなく、「拘束されている労働時間」となります。そのような労働態様が10%の手当てが支払われているから許容されるということにはならないと思います。

残業代の代わりの手当てが4%から10%に引き上げられるのは良いことです。でも、それでは法改正は不十分で、さらに「部活手当て」「修学旅行手当て」等の創設が必要なのではないかと思います。

今回の法改正は、よりbetterになったと思います。しかしbestではありません。というよりbestとは何かが判明しません。これは、当事者である教員についても、それぞれ目指すところが違うと思います。なので、誰も反対するもののいない「賃上げ」が達成されたということは結論として良かったことでしょう。

土俵の高さ

(コツメカワウソ・智光山公園こども動物園、by T.M)

スポニチ 6/9

日本相撲協会を退職した元横綱・白鵬で前宮城野親方の白鵬翔氏(40)が9日、都内のホテルで会見を開いた。日本相撲協会を退職改めて報告。世界相撲プロジェクトを推進する「世界相撲グランドスラム」構想を明らかにした。

 協会は2日に東京・両国国技館で臨時理事会を開き、提出されていた退職届の受理を承認。また、9日付で伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が年寄「宮城野」を襲名、照ノ富士親方(元横綱)が年寄「伊勢ケ浜」を襲名し、伊勢ケ浜部屋の新師匠になることも承認した。

 白鵬氏は冒頭で「相撲に愛され相撲を愛した25年でありました。この場を借りまして、白鵬翔は日本相撲協会を退職して改めて夢に向かって進み出すことをお伝えします」とあいさつ。「今の自分が置かれている立場を考えますと、協会の中ではなく外の立場から相撲の発展に力を注いでいくことがいいと判断して最終的には自分自身で決断しました」と語った。

 質疑応答の最後に「今回の退職に悔いはありますか?」と聞かれると、「悔いは全くありません」ときっぱりと言い切った。

白鵬関(白鵬氏)、お疲れさまでした。横綱後に親方となられ、弟子の不祥事の監督責任をとられたようですが、今般相撲協会を去るのですね。私は、白鵬関の相撲が好きでした。人は彼のことを礼儀知らずの無法者と呼びます。しかし、私は相撲を誰よりも愛していたのは、彼であると思っています。白鵬関の相撲は、日本の文化とモンゴルの文化の戦いでした。しかし、日本文化を愛していたのも彼だったと思います。

そんな訳で、今日は安全衛生コンサルタントから見た相撲の話です。最初に断っておきますが、私は相撲ファンとしては未熟です。優勝が決まる立会や、千秋楽なら見ますが、NPB観戦ほどの思い入れはありません(私は、昔は大洋ホエールズからのファンで、横浜スタジアムには、年2,3回は観戦に行きます)。そんな、素人の浅はかな意見としてお聞きください。

土俵の高さをなくしたらどうでしょうか

まるい円を床に描きそこで相撲をするのです。あるいは、土俵の高さを10cmくらいにするのです。なぜそんなことを言うかというと、「相撲をとる人の安全のため」です。相撲をテレビで観ていて、時々思うのですが、力士が土俵から、ころげ落ちていく様子や、飛び降りていく様子をみて、非常に危険だなと思いました。災害防止のためには、土俵の高さを調整するのが一番の対策です。

私の意見に対し、一笑に付す人、何をバカなことをと眉をひそめる人、これだから素人はと思う人、相撲の伝統をなんだと思っているのだと怒る人、様々だと思います。でも、私のような安全衛生の専門家の中には、意外と理解を示してくれる人がいるような気がします。

労働災害防止のためのリスクアセスメント理論によると、リスク削減対策は、(1)本質的対策、(2)工学的対策、(3)管理的対策の順番で行われることが効果的だと言われています。ここでいう、本質的対策とはハザードの除去を行うことです。

「力士が土俵から落ちてケガをする」という事故のハザードは「高さのある土俵」ということになります。従って、事故防止には、高さのない土俵を作ることが一番の対策であるということになります。

もちろん、土俵の高さを変えるということは、観客席を変えるということですから、建物自体を改築するということになります。しかし、災害をなくすための本質的対策というのは、設備投資を伴うことが多いのが現実です。それでも、安全のためには、企業は予算をかけなければばらないこともあるのです。

なんか,相撲ファンの99%があきれる提言をしてしまいました。でも、不幸な予測ですが、土俵から落ちて力士が大けがをした時に、もしかしたらこのような議論が起きるかもしれません。そのようなことにならないように祈ります。

熱中症!

(1日モニターで試乗したポルシェの電気自動車タイカン、by T.M)

読売新聞 6/1

 熱中症による死傷者が増える中、事業者に職場での熱中症対策を義務付けた労働安全衛生法の改正省令が1日、施行された。従業員が熱中症となった場合の応急措置の手順策定などを求め、対策を怠った場合の罰則も設けられた。

 対策の義務化は、気温や湿度などから算出する「暑さ指数」(WBGT)が28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上か1日4時間以上作業する事業者が対象。

 対策の主眼は「重症化予防」だ。熱中症の恐れのある労働者を早期に発見して職場で報告する体制を整えるほか、応急措置を施したり医療機関を受診させたりする手順を定めることを義務付けた。整備した体制や手順について職場内に周知することも求める。違反した場合、6月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科される。

 厚生労働省によると、職場で熱中症となって4日以上の休業を余儀なくされるなどした死傷者は昨年、過去最多の1257人に上った。死者は31人で、3年連続30人台で推移している。

時期的にこの話題を取り上げなきゃまずいと思うので、今日はこの話です。今回の法改正ですが、真剣に取り組もうと思うと、おそろしく深いし、法違反にならないテクニックを使えば、別に悩まず対処できます。

まずは、適当な対処方法から。それは「マニュアル」を作ればよいのです。

今回の法改正のポイントは2つです。

1 熱中症が起きた時の対処方法(どこに連絡するのか)を確立すること

2 熱中症が起きそうな職場で、防止対策(休憩、給水をどうするか)を確立すること

上の2つを含むマニュアルを作ればいいのです。そして、ここがポイントなんですが、そのマニュアルを「守らなくとも、周知させれば」、法の要求の最低水準はクリアできます。要するに、マニュアル作って、壁にかけておけば良いのです。

なんで、こんな中途半端な法になったかというと、熱中症とひと言でいっても、職場ごとに環境が違うので一律に規制ができないからです。

真面目に熱中症を防ごうと思えば、これはたいへんなことです。まず、熱中症の起きそうな職場とはなんなんだということから検討しなければなりません。厚生労働省ではWBGT値28度以上が危険だとしています。

(注)WBGT値とは、何か。昔、小学校の授業で習った湿度計を思い浮かべて下さい。乾球と湿球がならんでいるやつです。湿度の2本の水銀柱のとなりに、もう1本水銀柱を加え、その水銀注の底辺の水銀溜まりを真っ黒に塗ってやればWBGT計のできあがりです。黒く塗ったものを黒球といいます。WBGT値は、日の当たる場所で次のとおりです。

WBGT値 = 0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×気温(乾球温度)  

しかし、すべての職場でWBGT計が備え付けられる訳ではありません(屋外職場はどうするのでしょうか)。

それから、「熱中症が起きた時の対処方法」といいますが、職場で「頭が痛い」と訴える人がでた時に、それが「熱中症」によるものなのか、そうでないのか、どう判断したらよいのでしょうか。これも難しい問題です。

熱中症をどうとらえるか?建設現場と、オフィスの中と、工場と、倉庫の中とではひとつひとつ違うので、企業はその職場の最適解を各々検討する必要があり、安全衛生担当者は非常に悩むものなのです。実は、私が現在相談員を務める某労働災害防止団他にも以上のような相談が連日きます。一生懸命、熱中症対策を考えている会社が多いんだなと、ちょっと嬉しくなる

固定残業代

(会津若松駅・JR磐越西線、by T.M)

Yahoo 知恵袋

固定残業代を設定して基本給を下げている企業は大体がブラック企業でしょうか?

yahoo知恵袋で時々このような質問を時々見つけます。はっきり、言わせて頂きます。

「このような企業はすべてブラック企業です。」

計算を単純にするため、次のような企業を想定します。

   ひと月の所定労働時間150時間(年間の所定総労働時間を12で割ったもの)

   週休2日制(土曜日・所定労働時間、日曜日・法定休日)

   基本給18万円(時給1200円) 固定残業代6万円(残業40時間分)

   給与合計24万円

さて、このような賃金体系をよしとする人は次のように話します。

   「残業をやっても、やらなくても40時間分の残業代がもらえるからいい」

確かに、そうであれば合法です。でも実態は絶対にパワハラ体制の事業場に間違いありません。

   「なんだ、残業1時間で帰るのか、うちはたくさん残業代払ってるんだぞ」

   「残業代分、きちんと働け」

このように威張る上司が必ずでてきます。いわれた労働者は、「前払い(?)で余計に残業代もらっているんだからしかたない」なんてあきらめてしまいます。つまり。固定残業性とは常に上司がマウントとれる状況になってしまうんです。固定残業代制度の会社でもいい上司はいたという人もいるかもしれませんが、それは個人的にいいだけで、会社制度としてはブラックです。

そもそも、何で固定残業制度なんてするのでしょう。それは、使用者側が時間管理がめんどくさいからです。そして、毎月の人件費に変動がなく、会社経営がやりやすいからです。でも働く人にとって大切な、「労働時間と賃金」の関係をめんどくさがる会社がまともなはずはありません。サービス残業の温床になるだけです。

世の中から、固定残業制の会社がなくなることを願っています。

(注)タクシー会社等のオール歩合制の会社は除きます。それはケースバイケースです。

お休みです

(阿賀野川沿いを走るJR磐越西線の車窓、by T.M)

疲れました。衛生管理者受験準備講習会の法律の講師を水曜日から金曜日までやってヘトヘトです。ご訪問頂いた方には申し訳ないのですが、ブログのアップはできません。来週はパワーアップして、更新するつもりです。

デハデハ