ドジャース奥さま会

(コノハズク・智光山公園こども動物園、by T.M)

10月13日 日刊スポーツ

ドジャースの「奥様会」が13日までに公式インスタグラムを更新し、3年ぶりとなるリーグ優勝決定シリーズ進出を祝う集合写真をアップした。

11日にパドレスを相手にした地区シリーズ第5戦の勝利した後に撮影されたもの。大谷翔平の妻、真美子夫人の姿はないが、各選手の妻たちが、大はしゃぎしながらポーズをとっている。

「奥様会」は、大一番となった試合前にも、球場近くで撮影した集合写真をインスタグラムに投稿。真美子夫人は、選手の妻たちと一緒に写真におさまり、後列右で笑みを浮かべている。

我がベイスターズが、タイガースとジャイアンツという、実力と人気を兼ね備えた球団に、まぐれにまぐれを重ね、申し訳ないけどCSで勝ってしまい、日本シリーズでホークスと雌雄を決することとなりました。鎧袖一触でホークスという予想が大半ですが、例え大負けしても、ファンを10月末まで楽しませてくれたことに感謝します。

さて、海を越えたMLBですが、これもまたWSがニューヨーク・ヤンキースとロサンゼルス・ドジャースという宿命の対決となり盛上がっているようです。ここで私が注目したのは、「ドジャースおくさま会」の存在です。

この「おくさま会」とはドジャースの広報が作り上げた、半ば架空の団体であることは承知しています。しかし、「夫の仕事」なのに妻が注目されるということは興味深いものです。多分、ドジャースの広報としては、球団の選手が良き家庭人であることをアピールしたいのでしょう。ただ、そのアピールの様子が、どうも昭和の職場を連想させるのです。

昭和の優良職場では、「働く旦那さんの家族」を大切にすることが一般的でした。創立記念日等には、家族を招待したパーティーが行われるといった会社も少なくありませんでした。

運動会、社員旅行を家族連れというところもありました。(地域を巻き込んだ、「運動会」「盆踊り」等を実施する企業も多かったような気がします)

さて、私はひょんなことから、今年ある団体の安全週間の標語の選定の担当となりました。1000以上の応募作の中から標語を選ぶ仕事です。中には家族をテーマにした応募作もありました。

安全週間の独自標語は様々な団体が企画していますが、昔の標語には家族をテーマとしたものがいくつか選定されています。公式な安全週間の標語である中央労働災害防止協会で、「家族」という単語が含まれているのは次のとおりです。

昭和4年度 健康は身の為 家の為 國の為

 平成2年度 災害ゼロはみんなのねがい あなたのために家族のために

 平成6年度 職場の安全 家族の安心 災害ゼロはみんなの願い

平成23年度 安全は 家族の願い 企業の礎 創ろう元気な日本!

自分が標語の選定作業をしていて思ったのですが、「家族」という言葉が入る標語は心に訴えるものが多く、昭和脳の私の心を揺さぶります。でも、令和の標語としてどうかと言われると、選ぶ方は躊躇してしまいます。同性カップルの場合の家族とはどのような姿だろうか等を考え、頭が固い古い自分が考えつかないものは避けたいという心理になるのです。

考え過ぎということは自分でも理解できます。でも、多分「家族」という言葉で同じように戸惑う、企業の人事労務担当者もけっこういるんではないかと想像してしまいます。

ポリコレが日本より煩いUSAにおいて、ドジャースの家族写真がもてはやされていることに、何か不思議な気がしました。

タイミーと無断欠勤

(ドナウの夜明け、by T.M)

朝日新聞 10/14

単発で短時間の仕事ができる「スポットワーク」をめぐり、企業と働き手をつなぐアプリ事業者が働き手の利用を無期限に停止したことに対して、厚生労働省が指導していたことがわかった。連絡なく仕事にいかない、いわゆる「無断欠勤」をすると無期限でアプリが利用できなくなる仕組みで、職業安定法に違反するとしている。

 スポットワークは、スキマバイトとも呼ばれ、スマートフォンのアプリで働き手と雇い主をマッチングする。

 利用者は急速に増えており、スポットワーク協会によると今年10月時点で、主な4社のサービスに登録した働き手の数は、延べ2千万人に達した。この1年で倍増した。

 こうしたアプリでは、連絡せず仕事に就かないと、その後は無期限でアプリから応募できなくなる決まりにしているケースがある。

 一方、主なアプリ運営事業者は厚労相から「有料職業紹介事業者」の許可を受けている。職業安定法に基づき、違法な内容を除いて求職の申し込みはすべて受理しなければならない。

 このため、厚労省は、働き手に対して利用を無期限停止する措置は、職業安定法に違反するとして、一部のアプリ運営事業者を指導したという。

先週に引続き、スポットワークの大手タイミーの話です。タイミーでは、紹介した事業場の仕事を無断欠勤した紹介者に対し、その後に仕事を紹介しないとしていたそうです。それが、職業安定法違反だとして厚労省が指導したことを、朝日新聞が記事にしたものです。タイミーはそれに対し、次のような弁明をしています。

タイミー HP IR情報 10/14

本日、一部報道機関において、スポットワークアプリを利用するユーザーが無断欠勤をした場合に、当該ユーザーを無期限利用停止とすることを違法とする厚生労働省の指導について報道されておりますが、当社は昨年、厚生労働省との協議を経て、サービス利用停止期間を「無期限」から「一定期間」へ変更しております。

当社はこれまでも厚生労働省の方針に沿って関係機関と協議をしながら、サービスの改善等に対応してまいりました。今後も関係機関と協議しながら、皆様に安心してご利用いただけるサービスを提供してまいります。

これって、タイミーは何か悪いことをしているのでしょうか?「無断欠勤」するような紹介者は信用できないとして、以後の紹介をしないことは、別にかまわないような気が私はします。例え法律にそれが抵触していたとしても、是正すれば、特に世論に糾弾されることはないと思います。(印象操作で、このことが非常に悪質だというキャンペーンをしたい人がいるかもしれませんが・・・)

私は、労働基準監督官をしていたからよく分かりますが、事業者と労働者の間にトラブルが起きた時は、9:1で事業者が悪いのですが、確かに労働者が悪いケースがあります。中でも、無断欠勤については、100%労働者の非であると思います。

(もちろん、無断欠勤についても急病等の不可抗力のケースは除きます)

Yahooの知恵袋にこんな質問がありました。「寝坊で、タイミーから紹介された会社に仕事にいけなかった。後で自分で会社に行って謝罪したら、仕事を続けてくれと言われた。このような場合、タイミーからペナルティはあるのだろうか」。それに対する回答は、「タイミーはそのような無断欠勤ではペナルティはない」ということでした。適切な処理をタイミーはしているのだと思います。

「働く」から、労働者なのです。無断欠勤して働かない者は、もはや「労働者」ではありません。単なる「迷惑な人」です。無断欠勤をするような方は、スポットワーク事業者とそれを利用する経営者だけでなく、紹介された職場で一生懸命働く労働者の敵でもあると思います。

私の持論です。「派遣労働者と短時間労働者の最低賃金を、地域最低賃金の1.25倍とするべきである」 この持論にスッポトワーク業者は反対しないと思うのですが、それは私の幻想でしょうか。厚労省はスポットワーク事業を育て、そこで働く労働者の待遇改善を目指すべきだと思います。

タイミー

(上信電鉄下仁田駅とポルシェ、by T.M)

10/6 時事通信

生活や仕事の空き時間を使って短時間働き、給与が即日支払われる「スキマ(隙間)バイト」の利用者が急増している。

即日払いが人気の理由だが、給与を立て替え払いする仲介アプリの運営企業が、利用者から金銭をだまし取られる被害が相次いでおり、業界団体は被害拡大を警戒している。

仲介業者の団体「スポットワーク協会」によると、主要4社と、3月に新規参入した「メルカリ ハロ」に登録した人数は9月時点で延べ約2500万人に上る。

仲介アプリの運営企業は、就労者に対し給与を即日立て替え払いし、月末に求人掲載した雇用主から手数料を上乗せした額を回収する。この仕組みを悪用し、雇用主役が架空の求人を掲載。就労者役が応募して、うその出退勤記録をアプリ側に申告して給与の立て替え払いを受ける例が昨年末から複数確認されている。

大阪では逮捕者も出た。アプリ運営会社から現金計約68万円を詐取したとして、府警は今年9月上旬、電子計算機使用詐欺容疑で、介護事業所の元経営者ら4人を逮捕した。4人は雇用主と就労者役に分かれて共謀していた。捜査関係者によると、被害総額は計430万円以上に上るとみられるという。

同協会の担当者は「不審な求人を出している雇用主がいないかなどのパトロールを各事業者で強化している」と説明。業界内での情報共有も強化する方針という。業界大手の「タイミー」(東京都港区)はこうした被害について「利用者の安心・安全を担保することが最優先だ」とコメントし、政府や警察の方針にのっとって対策を取る考えを示した。

この記事で紹介されたスポットワークのように、労働者に職業紹介をして、賃金を立替払いし、紹介先から紹介料と立替えた賃金を受取るといった有料職業紹介所は、昔からありました。「マネキン紹介所」、「家政婦紹介所」等がそうです。これらは厚生労働大臣認可の職業紹介所で、マッチングアプリを利用した現代のスッポトワークの業者も同じ許可を得ているようです。

昔から、こういう有料職業紹介所は労働基準監督署の監督官からは評判がいいです。なぜなら、「トラブルを起こさない」からです。ここが、許可をとらない「違法派遣業者」とは違います。

短時間の臨時職員に纏わる労働関係のトラブルは、監督署の窓口では昔から絶えません。一番大きな原因は、労働条件を書面で明示していないことから起きるトラブルです。「給料額が違う」「労働時間が違う」「仕事の内容が聞いていたのと違う」等々です。スポットワーク業者のタイミーのHPを見ても、その辺りの管理は徹底されているようです。

タイミー等のスポットワーク事業者は、労使関係のトラブルをどのように解決しているのでしょうか。「あんな労働者紹介しやがって、給料なんか払えるか。こっちが賠償金を取りたいくらいだ。」という事業主をどのようになだめているのでしょうか(元労働基準監督官監督官としては、このようなやり取りが容易に想像できます)。

多分、労働者に立替えた金は事業主が払ってくれない場合も多々あるのではないでしょうか。そんなときは、紹介会社の持ち出しで終わることも多いのではないかと推測します。もしかして、ボタンの掛け違いで労働者に賃金が支払われないとすると、大変な事態になるかもしれないからです。労働基準監督署に労働者から賃金不払いの申告がされ、それが監督署を通し地方労働局職業安定部にまで情報が入れば、そんな事業者を紹介した紹介会社の責任が問われ、職業紹介の大臣許可の取り消しということになってしまいます。

昔の「マネキン紹介所」や「家政婦紹介所」で労働基準法違反で許可取り消しになった事例は知りませんが、確か「監督署」から「職安(ハローワーク)」への通報事案に職業紹介所の不祥事事案が含まれていた記憶があります。

だから、タイミーみたいな企業は泣き寝入りのケースも多いと思います。でも、将来性のある業界。良好な雇用関係の維持に今後も頑張って欲しいと思います。

トラブルが起きないように事業者の指導をお願いします。監督署もハローワークもスポットワークの業者を応援していると思います。