今日はブログ休みます!

(津久井湖城山公園と津久井湖・相模原市緑区、by T.M)

4連休は、1ヶ月前は関西旅行でも行こうと思っていたのですが、第2波のためstay home。仕事少しと、Amazon・primeとNetflixで映画・ドラマ三昧の日々でした。収穫は「サンガプ屋台」を観れたこと。

まだ、仕事が残っているので、今日はブログを休みます。

すみません。

たまには悪口を!

(渋田川の芝桜・伊勢原市、byT.M)

ブログを書き始めた時に、ある人からこんなアドバイスを頂きました。

「ブログの品格を保ちたかったら、人の悪口は書くな。」

確かに、その通りだと思いました。このブログでも、今までは行政批判等は行っても個人攻撃は基本的に行ってはいないはずです。何やかんや言っても、私は現場の仕事が好きでしたから、現場で一生懸命仕事をしている監督署の職員の悪口は書きたくない(書けない)。その反面、現場の職員を犠牲にして保身だけを考えている局や本省の連中のことは、いくらでも書くつもりでいます。また、例え現場で働いている者であっても、他の職員の誇りを傷つけるような者は許せない気がします。

私に前述のアドバイスをくれた人はこうも言っていました。

「でも、人の悪口を書くことはとても楽だ。」

ブログを初めて4年目。ブログネタもそろそろ切れてきました。そして私も62歳。もういい頃だと思いますので、「悪口」を解禁したいと思います。

私がこいつは本当に許せないと思ったのは、東北のM局に勤務してた時の職員Yです。今から30年以上前のことです。彼は労働基準監督署とハローワークの職員で構成する労働組合の活動家でしたが、職場に出勤するのは週1度程度した。残りの日は、「有給休暇」ではなく「組合活動」を「業務」と称し、仕事に出てこなかったのです。他の組合執行委員も、業務の合間に組合活動をする時に職場を離れることはあります。でも、周りの者にすまなさそうな顔をして、自分の仕事を済ませてからいく者については周囲から不満はでませんでした。でもYは違いました。まったく仕事はせずに、組合活動のみをしていました。因みに彼は、「組合専従職員」では、当時ありませんでした。東北1の国立大学出身で、在学中からある政党の下部機関である学生運動に参加していたというYは、筋金入りの活動家でした。

(注)「組合専従職員」とは、「仕事を休職」をして組合活動に専従する人を言います。「休職期間」の給与は労働組合費から出ます。ですから、専従職員の存在は合法です。問題は「専従」でもない人も、仕事をサボるということです

Yは、F署の第一課長という職にいて、私の上司でした。F署は労働基準監督署としては、最小単位の署でした。監督官は「私」と「課長」と「署長」の3名だけでした。私は、「課長」が常時いないので、仕方がないので「署長」と相談しながら業務を進めていました。すると、時々出勤するYが、私の仕事をけなすようになりました。「君の仕事はいいところがひとつもない」というような、現在ではパワハラと捉えられるような暴言も浴びせられました。私は当時、自分で言うのも何ですが、仕事はかなりできました。と言うよりも、仕事ができる私ですから、そのようなYの下につけられたのです。

私は、Yに暴言を浴びせられるたびに、理不尽という思いよりも不思議な気がしました。「この人は、なぜ私を非難するのか。私がいなければこの署の仕事は回らないではないか」と思っていました。でもある時に気付きました。Yは私に、「もっと自分の顔を立てろ」と要求していたのです。サボっている自分を、かばう姿勢なく、署長と2人で仕事をしていることが面白くなかったのです。

ある時ついに私は切れました。「お前ふざんなよ」と、事務室で他の職員の見てる前で怒鳴る付けたところ、その後Yはおとなしくなりました。私は普段はとても穏やかな紳士なので、切れられてYも驚いたと思います。Yはその後、年度途中で仕事を放り出して、国公労連の専従職員として中央に行きました。

まあ、Yの横暴を見て見ぬふりをして、一課長という要職に付けた当局及び、Yに何も言えない署長もひどいのですが、私が労働組合というものに幻滅したのはYの存在が大きかったと思います。

この話には後日談があります。

東日本大震災の時です。私は震災からひと月後に、かつて勤務していたM局I労働基準監督署にお手伝いに行きました。I署は海辺にあり、津波に直撃され壊滅的な被害を受けた所です。監督署には、連日避難所で暮らす人たちが多く来署してごった返していました。M局に昔勤務していた私は、そこで多くの旧友と再会しました。

そのI署に、同じM局のF署から手伝いの監督官も来ていました。F署はI署と違い内陸の署なので被害がなかったのです。そのF署から手伝いにきている職員がこんなことを言いました。

「F署の署長から、頑張らなくていいから、適当にやっていろと言われました。」

ようするに、当局がF署の職員を激務のI署に派遣することはケシカランというようなことをF署の署長は言う訳です。しかし、神奈川局からバスを乗り継いで手伝いに来ている私の前で、よくそんな事が言えたものだと思いました。(当時、津波のため鉄道網は寸断されていました。)

そのF署の署長は誰かと尋ねたところ、何とYでした。私はYは、いつまでも変わらないなと思いました。

しかし、一課長時代に何の仕事もせずに、年度途中に中央の労組の専従職員となり、それから何年も休職していたYを労働基準監督署長に昇進させるとは、M局も相変わらずだなとしみじみ思いました。

(注) 現在の組合では、さすがに仕事をサボッて組合活動をしているケースはないと聞いています。

忘れられた労働問題

(小武川と鳳凰三山・山梨県北杜市、by T.M)

毎週日曜日の午前9時に定点観測しているんですが、先週のこのブログのアクセス数が、1週間の最高値を記録しました。といっても、5000アクセスをちょっと超えたくらいなんですが、1日平均700アクセスを超えた週は初めてなんで嬉しくなってしまいました。こんな、誤字脱字だらけの長文、誰が読んでるのかと、書いてる私も不思議に思います。

もしかしたら、先週はミニ炎上していたのかもしれません。先週の記事を読んだある人から、「何が書いてあるんだかよく分からない」と言われました。確かに、タクシー業界のことを知らない人が読んだら先週の記事は何だか分からないもんだったと思います。でもね、先週の内容は業界関係者が読んだら、けっこう過激で革命的なものだったんですよ。というか、最後の公式はけっこう物議を醸すかもしれません。

以前からアクセス数が伸びる時は、「無給医」「ウーバーイーツ」等を取り上げた時でした。「正規」「非正規」の問題、「名ばかり個人事業主」等の問題が現代の労働問題の旬なのでしょうけど、これからタクシー業界のことも定期的に書いていこうと思います。

さて今日は、前述した「旬の労働問題」でなく、忘れ去られた労働問題のことを書こうと思います。

先週、平日の午後に仕事の都合で横浜駅西口に行きました。長い工事期間を経て先月にオープンしたばかりのJRビル周辺なんぞを少し歩いてみましたが、私の知っていた横浜駅西口ではなくなっていました。新しいビルとショッピングモールですので、人出がとても多く、若い人もたくさんいましたが、コロナ危機なんて忘れ去られているようでした。こんな場所から感染が広がっていくのかなと思いました。

横浜駅周辺の新たな賑わいとは対照的に、地方都市では老舗のデパートが閉鎖や倒産するケースが相次いでいるようです。私も、宮城県・北海道・栃木県の県庁所在地ではない地方都市で勤務してきましたので、少しはそのような街のことが分かる気がします。

私が監督官に就任した40年前には多かったのに、現在ではほとんどなくなった労働問題というのは、「出稼ぎ」と「内職」です。当時は、労働問題が起きると、「出稼ぎ手帳」のチェックをよく行ったものでしたが、現在では交付する自治体がほとんどないそうです。例えば、青森県の統計によると、最盛期の8万人(1974年)から現在では2000人弱となっているようです。

(注)出稼労働者手帳は、出稼労働者に対して出稼元の市町村が交付する手帳であり、労働者は市町村長から、氏名、性別、世帯主との続柄、本籍、現住所、電話番号、生年月日、世帯員の証明を受ける。出稼ぎに出ている期間は、住民票は異動させない。

出稼ぎが減少した理由は、企業が派遣や構内下請けに人材確保の重点を置くようになったことも一因ですが、地方都市に住む人たちが超高齢化してしまって、出稼ぎという形態がほとんどなくなったということが、その主な理由だそうです。(逆に、「出稼労働者」という優良な労働者が確保できなくなったことが、「派遣」「構内下請」の隆盛の一因ともいえます)

「内職」もまた見なくなりました。内職とは、家庭内で主婦の方が行う仕事ですが、その主流は「衣服の縫製」と「電気機械部品の組立」でした(未だに「最低工賃」としては、この2つの業種関係のものが設定されています)。でも、繊維産業・電機産業の衰退により、内職もなくなりました。なによりも「専業主婦」という形態が減少し、内職より実入りの良いパートタイマーが増加しました。一時私は、「データ入力業務」が「内職」の主流になるかと思いましたが、オンラインデジタルデータで情報入手の機会が増えたことと、「企業の機密情報漏洩防止」のため、産業としては成立しませんでした。

現代では、現役の労働基準監督官は「違法派遣」「偽装請負」「正規・非正規の労働条件格差」「名ばかり個人事業主」「外国人労働者への不法行為」等の問題で多忙だと聞きます。それと比較する時、出稼労働者への賃金不払いを調査し、その出稼労働者を専業主婦の奥さんが内職しながら地方都市で待つなんていう光景があった私が現役の時代は、(特に昭和の時代)なんとも牧歌的なものでした。(携帯電話がなく、ビデオ通話なんて夢のまた夢だった時代のことです)

差別のない賃金

(旧国鉄日中線熱塩駅・福島県喜多方市,by T.M)

BLM運動が世界で燃え上がっています。
差別の問題というのは、複雑で繊細です。
だから、このブログで取り上げるのをためらっていたのですが、ふと思うところがありましたので、それを書きます。

少し古い話ですが、次のような事件がありました。
時事通信 2020年3月30日 
時間外労働を抑制する目的で歩合給から残業代を差し引くタクシー会社の賃金規則の適法性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は30日、労働基準法に反すると判断、「割増賃金が支払われたとは言えない」と述べ、会社側逆転敗訴を言い渡した。同様の賃金規則は運送業界で広く採用されているといい、判決は一定の影響を与えそうだ。
 訴訟を起こしたのは、タクシー大手国際自動車(東京)の運転手。同社の規則では、残業した場合、形式的に「割増金」が支払われるが、歩合給から同額が差し引かれ、「どれだけ残業しても給与が変わらないのは不当だ」と訴えていた。
 小法廷は「売り上げを得るための経費を運転手に負担させているに等しく、法の趣旨に反する」と判断。正当な割増賃金を算定させるため、審理を東京高裁に差し戻した。
 同社の賃金規則は既に改められたという。

タクシー会社の賃金体系は、ほとんどの会社が上記のようなオール歩合制です。例えば、歩合率60%としたら、運転手が100万円稼いだとすれば、会社が40万円、労働者が60万円とるシステムです。このシステムでは、残業代がでません。だから、労働基準監督署の中の就業規則の中の賃金規則で、このことを明記しているところはありません。労働時間や有給休暇等については、就業規則が守られていますが、賃金規定は嘘のところが多いです。

私は、この件で何回是正勧告書を交付したでしょうか。何回労働争議に巻き込まれたでしょうか。何回ケンカをしたでしょうか。何回吊し上げられたでしょうか。そして、指導しても、指導しても、最後はタクシー会社はオール歩合給の制度に戻って行くのです。(多分、上記のタクシー会社もそうなるのではないでしょうか)

(注) タクシー会社には、オール歩合制以外に、関西の古都に本社を置く、○○タクシー方式という賃金体系をとるところもあった(今は改善されているかもしれない)。これは、労働者が「定額」を事業主に収める方式である。これをが、形を変えた「オール歩合制」である。

私は、愛知県、宮城県、北海道、栃木県、神奈川県の5都道府県の監督署で仕事をしましたが、行く先々で、地元のタクシー会社の人と、そしてタクシー業界の2大労働組合の専従職員らと知り合いになりました。私は、ケンカの後で親しくなった、専従職員に次のようなことを訪ねたことがあります。

「あなたは、何度も傘下の労働組合員の労働条件について陳情にくるけど、結局最後はオール歩合制の賃金体系に戻っている。そして労働組合もそれを後押ししている。労働争議の焦点は、いつも『オール歩合制の歩合率を上げること』ではないですか」

すると、専従職員は次のように答えてくれました。
「私たちも、組合には、固定給プラス残業代の賃金体系の方がオール歩合制よりいいと言っています。でもそれを理解してくれる組合員は少数です。多くの組合員は『残業代がでるなら、流しで客をつかまえるより、駅のタクシー乗り場で客を待つ間に休んでいる方が得になる。そんな、不公平なことより、稼いだ分だけもらった方がいい』と言っています」

50歳を超える頃に、私の中で、「オール歩合制に関する考え」が少し変わってきました。多くの監督官が長年努力してきて、労働組合の方が奮闘し、そして心ある経営者の方が改革を志しても、タクシー業界から「オール歩合制賃金体系」が追放できないのは、オール歩合制賃金に、著しい合理性があるのではないかと考えるようになったのです。

ここで少し、労働基準法における残業代についての位置づけを確認します。
「労働者と使用者は対等である。しかし、使用者の立場の方が圧倒的に強い。そこで、法により労働条件の最低基準を設ける。それが労働基準法である。使用者が残業代を支払うということは、労働時間の抑制及び長時間労働への補償の意味がある」

この労働基準法の意義を上回る、「オール歩合制賃金」の合理性(長所)とは何か?私は、それが
オール歩合制賃金が公平で差別のない賃金制度
であることに気づきました。
オール歩合制とは「分かりやすく」、そして「性差」「年齢差」「国籍」「勤務年数」等で一切差別されない「同一労働同一賃金」です。これは、すごいことです。
このことに気づいて以来、私は「オール歩合制」イコール「悪」という考えではなくなりました。
オール歩合賃金制が悪いのではない、それが原因となり、「過重労働」が発生することが悪ではないのか。ならば、「過重労働対策」と「最低補償給制度の充実」があれば、別にオール歩合制賃金でもかまわないのではないかと考えるようになりました。(最近では、これに「高齢労働者対策」を加えなければいけません)

私と同じ考えの社労士さんがいて、「歩合部分に割増賃金を組み込むオール歩合制」プラス「最低補償給」と「時間管理の厳密化」の制度を考えてくれました。
これは、例えば、「歩合給60%」でなく、「歩合給50%、歩合の割増賃金5%、深夜労働割増5%で合計60%」を支払う方法です。私は、この社労士さんの工夫はひとつの進歩だと思います。
(注)この賃金計算が合法であるかどうかが疑問の方は、月の所定労働時間170時間、時間外労働45時間、深夜労働40時間のケースで計算してみて下さい。私は合法であると思います。ただ、実際に事業場の方が、この賃金制度を試みようとするなら、事前に管轄の労働基準監督署と相談して下さい。

因みに、求める歩合給の歩合割増をX%、歩合深夜割増をY%とする時に

X=Pa/400(T+a)、Y=Pb/400(T+a)

となります。
P(基本の歩合率 %) T(所定労働時間) a(残業時間) b(深夜労働時間)