(成田・科学博物館・YS11,by T.M)
働き方改革について、少し書こうかと思ったら、何か「裁量労働制」のことで世間は盛り上がっていますね。「平成25年度実施の労働時間の調査的監督」のデータの読み方の問題だそうです。
「調査的監督」について説明します。その前にお断りしておきますが、私にとって、平成25年という年はギランバレーが発症した年であり、6ヶ月ばかり人工呼吸器に繋げられ入院し、その後のリハビリで仕事を棒に振った年でした。従って、私自身はこの年の調査的監督について一切関わっていませんし、内容もまったく知りません。これから書くことは、私の経験から推測したものです。
調査的監督とは、不定期に行われるもので、私は4~5回経験しました。実施年度が始まる年明けの1月くらいに、「今年は調査的監督を実施する」という通達が本省から各都道府県労働局を経て監督署に来ますので、それを受け監督署は次年度の年間計画にこの調査的監督を組み込みます。「件数」「事業場規模」「業種」「実施時期及び本省報告期限」はこの通達で示されます。
調査的監督の目的は、本省がその時の社会状況を知るためです。1980年代末に「週休2日制導入等の時短」が話題となっていた時には、「労働時間の実態調査」に行きましたし、「名ばかり店長」が話題となっていた時には、その調査的監督に行きました。
調査的監督と言っても、監督官にとって通常の臨検監督と何ら変わりはありません。事業場に行って、労働基準法関係の書類等をチェックし、労働安全衛生環境を確認し、法違反があれば是正勧告するだけです。通常の監督と違うのは、事前に本省から「調査票」と呼ばれる冊子を渡され、臨検監督後にそれに記入して、その冊子を期限が来たら地方労働局を経て本省に送ってやることです。「調査票」の記入内容は、「一番労働時間が長い労働者は何時間残業する」「店長の職務権限でアルバイトの解雇権限はあるか」等で、調査目的によって当然違います。冊子は20~30ページくらいあり、調査項目は100項目を超えることもあったと思います。
監督署が年間計画で監督を実施する事業場は、通常なら「事故が多い業種」とか「過重労働の疑いがある業種」等なのですが、この調査的監督については、本省が指定してくる業種等が、普段行ったことのサービス業や研究業になることも多く、「調査票」の記入は面倒だったのですが、勉強になることも多く、けっこう楽しく仕事をしていた経験があります。