(長崎オランダ坂、by T.M)
今から7年前のことです。当時、横浜北労働基準監督署に勤務していた私が、東日本大震災直後の宮城県の石巻労働基準監督署にお手伝いに行った話は、このブログで何回もしました。
その出発直前に、神奈川局の人事から震災支援を希望する者たちの名簿を、秘密に見せてもらいました。神奈川労働局の労働基準監督署関係の約300名の職員のうち、3分の1にあたる100名程の者が手を挙げていました。現職の労働基準監督署長もいれば、再雇用の60歳過ぎの元労働基準監督署長の名もありました。私は、その名簿を見ながら、「神奈川労働局も捨てたものじゃないな」と思いました。(志願した者がそれだけいたということで、志を持ちながら、家庭の事情等で、志願できなかった者はたくさんいたと思います)
私が石巻から帰ってきての労働局での飲み会での話です。一名の職員が、周りの者に
「次は要請があれば、私が被災地に行きます」
とアピールしていました。その話を聞きながら、私は名簿にその男の名前はなかったはずなのにと思いました。面白半分に、「君は確か志願していなかたよね」と指摘してやろうかと思いましたが、それは控えました。そして、誰が本物で、誰が偽物であったか分かった気になりました。
さて、厚労省のコロナウィルス対応が叩かれています。特にクルーズ船での対応が非難の的のようです。岩田健太郎・神戸大教授の言動が注目されています。岩田教授の話から、厚労省を弁護・非難の2つの立場から状況を推測してみました。
(厚労省を非難する立場)
厚労省は、クルーズ船でのコロナウィルス対応ができていなかった。現場での指揮命令系統が確立してなく、感染に必要な措置も分かっていないようで、それを指摘した岩田教授を2時間で船から追い出した。厚労省の役人は尊大で責任逃れに終始している。
(厚労省を弁護する立場)
厚労省はクルーズ船で3000名もの乗客・乗員の対応に追われていた。最初の1~2日は、不慣れの船内において、乗客への食事・薬の供給等を安定させ、各人の健康状況を確認するために、とても忙しかった。そこへ、外部の人間がやってきて(岩田教授のこと)、あれはダメだ、これはなっていないと言って非難するので、岩田教授を直ちに下船させた。
さて、事実はどちらだったのでしょうか?多分、両方事実でしょう。
現在の対応が正しいか、間違っているかは後日になってみないと分からないということが本当なところなのでしょうが、厚労省は結果責任を負う立場。パンデミックとなり死者が何名もでることが危惧され、とても不安なのですが、個人としては、手洗い・うがいをせっせとすることぐらいしかできないので、厚労省をどうしても非難してしまいます。
でも、私はこれだけは信じています。厚労省の中には、少数かもしれないけど、必ず本物がいます。地位は上の者か、下の者かは関係なく、この感染を必ず止めてやると思っている者がいるはずです。そういう人たちが、偽物に潰されることなく活躍してくれることを期待しています。多分、偽物はとっくに逃げているか、最初から戦場には来ていません。