マイナンバーについて

(神戸市迎賓館、by T.M)

兄が6月25日に死去したと思ったら、7月10日に母が死んでしまいました。驚きです。ここ一週間は後始末に終始しているのですが、兄(独身)と母の遺産を私が一人で相続することになりました。手続きについては、よく分からなかったのですが、法務局の「法定相続情報証明制度」を使って、相続に必要な証明書(法定相続一覧図)を作ってもらえばよいことに気付きました。その手続きがとても面倒です。故人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集しなければなりません。なんと、母の戸籍謄本については大正時代に作られた書類の写しを取寄せることが必要なのです。

それにしても、日本の役所って凄いですよね。そういう書類が残っているんですから。でも、管理が大変そうです。とても非効率ですよね。

この非効率さ故にビジネスが成り立つらしく、銀行からは「50万円で手続代行をする」と言われました。因みに弁護士に頼むと相続財産の3%くらい、司法書士への依頼では30万円くらいかかりそうです。

どうして、コンビニで相続手続きができないのでしょうか?

私は別に冗談を言っている訳ではありません。「相続人が複数いて」「相続人どおしの協議」が必要なケースを除いて、私一人が相続人の場合はマイナンバーカードを使用すれば、コンビニで「相続証明書」ができるようなシステムを作ればいいのです。

もし、マイナンバーカードに、現在行政が使用している個人情報を紐づけることが可能であるなら、何兆円もの費用の節約が可能でしょうし、コンビニで相続手続きや婚姻手続きができるようになるでしょう。行政の内部に昭和の終わりから平成の最後まで過ごした者は、アナログからデジタルに替わる時代を過ごしています。例えば、「事業場台帳」と言われた紙台帳から、1年がかりで基準システムに情報を入力して本当に業務効率は良くなりました。

例えば、「2021年度の転倒災害における60代以上高齢者の割合はどのくらいか?」という質問に、今では数分で答えられますが、昔は一日がかりで台帳をめくったものです。

もちろん、「マイナンバーに全ての個人情報を紐づけることで数兆円の行政改革を行う」というマイナンバー推進派の意見に対し、「情報が中央に集中すると、国による統制がきつくなり怖い」「情報漏洩した場合、全ての情報が漏洩してしまう」等の反対意見があるのは当然ですが、私はそれは別の次元の問題であると思います。私はデジタル推進賛成派です。

さて地方労働局では現在困ったことが起きているそうです。例の「今年の5月のアスベスト訴訟の最高裁での判決及びその後の和解」を受け、厚生労働省本省では、地方労働局に対し、局及び労働基準監督署で所有している監督記録・労災認定記録当をPDFにして本省に送付するように命じたそうです。ここで、困惑したのは現場の職員です。本省の意図は分かるものの、各労働局及び監督署には書類をPDFに効率よく変換する機械がないのです。

現在、多くの企業に導入されている「書類の束の裏表を1枚づつ読み取り、書類の束を瞬時にPDFとする機械」が地方労働局や監督署にはなく、旧式な書類1枚ごとにPDFに変換する機械しかないのです。どうやら、本省には最新式のPDF変換機があるようで、この命令を地方労働局にした者は、現場の実情をまったく理解してなかった模様です。

(注)この情報は6月末のもので、現在ではさすがに「是正」されているものです。

デジタル化を進めるにあたり、まずは全国の局・署にPDF変換機の設置からはじめなくてはならないとは、まだまだ道は遠そうです。