歩きスマホをする従業員を解雇する方法について

(源頼朝と北条政子の像・伊豆蛭ヶ島、by T.M)

実業家の「ひろゆき」こと西村博之氏(45)が10日、自身のツイッターを更新。「ゲームしないで歩くだけとか、人生の時間の無駄遣いだと思います」とツイートし“歩きスマホ肯定論”を展開した。

 (中略)

 これに、ひろゆき氏は「ウエストポーチって、両手空くから歩きながらゲームも出来るし便利やん。21世紀にもなって、手でカバン持つのとか効率悪くない?」と反応。また、スマホを操作しながら歩いていたことについては「ゲームしないで歩くだけとか、人生の時間の無駄遣いだと思います」と、持論を展開した。

んー、困るんですよね。ヒロユキさんのような影響力がある人がこんなことを言われては・・・。

私が安全診断を行った事業場では、歩きスマホによる転倒で休業1ケ月の労災事故が発生したそうです。そこで、どうしたら職場内での歩きスマホを失くせるか相談を受けたのですが、私は「どうしても言うことを聞かない従業員は、最終的には解雇を仄めかし脅してみたらいかがでしょうか」と答えました。少し極論ですが、効果があるかもしれません。

そこで、今日は「歩きスマホをする従業員の解雇方法」について説明します。

歩きスマホを理由として従業員を解雇するためには、まず前提として次の3つを行わなければなりません。

第一、「就業規則の整備」 歩きスマホは懲戒事由に該当することを就業規則に明示しなければなりません。また、処分内容を「厳重注意」「訓告」「減給」「出勤停止」「解雇」というように定めておかなければなりません。

第二、「従業員の教育」 歩きスマホがどれだけ危険であるか従業員に事前に教育し、職場内での歩きスマホについては懲戒処分の対象になることを周知させなければなりません。

第三、「懲罰委員会の設置」 懲戒処分の対象になるかどうか、どの程度の処分が適当であるのかを判断する懲罰委員会を事前に設置しておかなければなりません。この委員会には、過半数労働組合がある場合は組合から推薦された者、過半数組合がない場合は労働者の過半数を代表する者から推薦された者をメンバーとしなければなりません。また、弁護士等の社外の者をメンバーとしていればよりベターです。

さて以上の用意ができたら、次にいよいよ歩きスマホの取締りをします。歩きスマホをしているものがいたら、まずは「厳重注意(口頭注意)」です。2回目は「訓告処分」として反省文を書かせます。それでも歩きスマホを続けるようでしたら「減給」「出勤停止」というように処分内容をエスカレートさせます。そして最後の段階では「解雇」ということになります。

もちろん、このような処分については懲罰委員会で十分に討議し、特定な労働者を狙い撃ちしたような運用が絶対にないようにしなければなりません。

たかが、「歩きスマホ」といえども、従業員の安全に関することであるなら、事業主はここまでする必要があります。ひろゆき氏の考えは、少なくとも職場においては論外でしょう。