(十国峠からの富士山、by T.M)
ウィル・スミス、かっこよかったです。
病気の奥さんを、大多数の前でジョークの種にされたら、誰だって怒るのは当たり前です。ウィル・スミスのことを、私は絶対に支持します・・・
とこう思っていたけど、よくよく考えてみたら、これはそんな単純なことではないなと思いました。何よりもアカデミーが本当に困っているだろうと思います。
もし、頭の禿げている中年男性が、そのことを女性に馬鹿にされたので、その女性をビンタしたとしたら、やはり非難されるのは中年男性ということになります。
ウィル・スミスの奥さんの病気の脱毛症と、男性の加齢によるハゲを一緒にするなという意見もあると思いますが、心を傷つけるのは一緒です。ウィル・スミスに許されて、中年男性に許されないというのなら、論理は破綻していると思います。
私の専門領域の労働問題に話を移します。
「パワハラが横行している職場において、上司の言動に切れて、部下が上司をぶん殴ってしまう」
これって、ぶん殴った部下が懲戒処分にされても、法的には問題ないと思います。例え、そのパワハラの内容が、今回のウィル・スミスの事件のように、部下の家族への耐え難い誹謗中傷であったとしてもです。悲しいことだけど、それが法律の論理です。
酷いパワハラについては、事実関係を明確にして、できれば録音等の物的証拠をもって対抗しなければなりません。「言葉の暴力」はリアルの暴力より軽く見られるのです。
さて、私の体験を書きます。私はハゲです。30代前半から、前髪が段々となくなり、今では数本になりました。完全になくなれば、まだ見ようがあるのですが、数本残っているのが惨めです。私のこの頭髪について、「ハゲ」と面罵されたことが何回もあります。
監督署で、仕事にあたっていた時のことです。相手が事業主であったこともありますし、労働者だったこともありますし、エセ労働組合だったこともあります。言われるたびに、随分悔しい思いをしました。
ウィル・スミスのように、その時ぶん殴っていたら、「公務員が市民に暴力」ということで叩かれていたでしょう。ある意味、ウィル・スミスの奥さんが羨ましく思いえます。
先日、監督官を目指したいという方からメールを頂きましたが、監督官という仕事には、そういうこともあるよということを伝えておきたいと思います。