長時間労働規制の問題点(11)


(大宮動物公園で撮影、by T.M )

労働者が積極的に支持しない過半数労働組合が締結した36協定をもって、残業規制をすると言われても、当事者である労働者は所詮は他人事としか思わないのでしょう。
もっとも組合に言わせれば、「そのように大切な協定なんだから、もっと興味をもってくれ」ということになるのでしょうが。

さて、36協定による時間管理の問題点について、「労働者の過半数を代表する者が適正に選任されていない可能性があること」「労働者の過半数を代表する者が、個別労働者の意見を反映していない(できない?)可能性があること」の2点を挙げました。この2点については、今までも多くの方が指摘してきたようです。
私は、この2点以外に、もうひとつ、自分が在職中に気付いた問題点を紹介します。
それは、「適用事業場の概念が、時代に合わないので、適用事業場単位で締結することが前提の36協定は意味がない」ということです。

私が、このことに気付いたのは、「名ばかり店長」の問題を考えた時です。その問題が数年前にクローズアップされました。
小売店の店長等は、通常は「管理職」として取り扱われ、残業代が払われずに、一定額の管理職手当を支給され、時間管理がされないものです。
ところが、確かにその店舗のNo1の地位(店長)にいて他の労働者へ残業等の指揮命令はしていても、実は本社から自分も時間管理されているといった労働者の労務の実態が問題となったのです。このような方は、残業を何時間しても、一定額の管理職手当しか支払われてなく、しかも店舗のトップであるがゆえに過重労働が当たり前でした。

どう考えても、その店長は一般労働者としてしか思えませんでした。