10年目!

(新型ポルシェ911・ポルシェ   センターみなとみらい、by T.M)

東日本大震災・・・あれから10年ですか。時がたつのは早いものです。

地震と遭遇したのは、当時勤務していた役所(JR新横浜駅)から約8km離れたJR中山駅にいた時のことです。JRが停まってしまったので、出張先からまずは役所まで歩きました。役所に帰ってきてみると、帰りの電車も動いていなかったので、私はさらに16kmあるいて、横浜地下鉄の上大岡駅まで歩きました。つまり半日がかりで24km歩いて家まで帰ってきた訳です。帰ってくる時に、横浜市内の主要道路を歩いていて気付いたのだですが、大きな交差点では警察官が手旗で交通整理をしていました。非常時の訓練が行き渡っていたのだろう、頼もしく思えました。

震災から20日後、神奈川労働局から初めて、現地のお手伝いということで私が石巻労働基準監督署へ行くことになりました。鉄道は寸断されていたので、バスを乗り継いでの移動です。当時は、新宿駅でなく臨時に東京駅からバスが発着していました。そこから11時間かけて、石巻まで行ったのですが、街中はまさにガレキの山でした。

監督署には、「会社や工場が流されてしまい」賃金不払いが発生していることを、ようやく問題とすることができた人たちがたくさん押しかけてきていて、あの時くらい懸命働いたことなかったなと思えます。

そういえば、一緒に働いていた地元の職員がこんなことを言ってました。「今は、みんな手助けしてくれるけど、やがてはいなくなる。その時までに、自立しなければならない」

東北のうまい酒と魚とコメは手に入るようになったけど、復興はまだまだ、道半ば。全ての人が、あの日のことを思い出と語れる日が来ることを願います。

さて、今日はまた思い出話です。

ある中小企業のサービス残業を指摘したところ、事業主が次のように反論しました。

「みんなバスを待つのに、事業場に残っているんだ。寒い中、バス停で待ちたくないからな。そんな時間まで残業代を払わなければならないのか」

調べて見ると、確かにバスの発車時刻は5時45分で、みんな5時30分ぐらいまで残業をしていました。それを事業主は残業と認めなかった訳です。事業主はさらに続けました。

「業務終了の5時になったら、みんなにタイムカードを打刻して、事務所の中でバスを待ってもらいます。」

私はそれは、絶対にダメだと言いました。結局、「タイムカードに客観的な労働時間記録」と「残業の自己申告制」ということで残業管理をしていくことにしました。労働安全衛生法により、タイムカード等により労働時間の把握が義務づけられた現在において、あの事業場は今どのように時間管理をしているのでしょうか。

私が何を言いたいかと言うと、先週のこの記事です。

女性職員、バス乗るため2分早く「退勤」…記録ごまかし316回

3/11(木) 6:59配信、読売新聞

 千葉県船橋市教育委員会は10日、1年9か月間で316回、勤務終了前に退勤しながら、他の職員に頼んで正規の時間に退勤したように記録させていたとして、生涯学習部の課長補佐級の女性職員(59)を減給10分の1(3か月)の懲戒処分とした。

 発表によると、出先機関に勤務する女性職員は、帰宅時に最寄りのバス停から午後5時17分に出発するバスに乗るため、正規の退勤時間の同5時15分より2分程度早く退勤する行為を繰り返していた。バス停は職場から徒歩3、4分で、後続のバスの出発時刻は約30分後だったという。

 同様に勤務時間終了数分前の退勤を繰り返したり、依頼を受けて退勤時間の記録を変更したりした正職員1人と会計年度任用職員6人も訓告や厳重注意処分を受けた。

これ労働者に同情的な声もネット上にあるけど、これは絶対に許せない行為です。

「バスに乗るために2分早退した。」

ということを認めることは

「2分くらいのサービス残業は仕方がない」

という主張を認めてしまうことになり、かえって労働者への不利益となります。

タイムカードの不正打刻はさらに重大です。タイムカードの打刻時間イコール残業時間とならないのは、先の私の事例のとおりですが、過労死の防止等について言えば不正打刻は絶対にやってはならないことです。

「事業主のタイムカードの改ざん」を許してならないように、「労働者が労働時間の記録を改ざんすること」は当然懲戒処分の理由となります。

労働時間の適正管理については、事業主と労働者が対等に義務があるということを強調しておきます。