熱中症と公務員

(川崎マリエンのイルミネーション、by T.M)

日テレニュース 5/30

政府は、2030年を目標に、熱中症による死亡者数を半減することを目指す計画を閣議決定しました。

熱中症への警戒を呼び掛ける「熱中症警戒アラート」は、令和2年(2020年)からは関東甲信地方で、2021年からは全国で運用されています。しかし、これまでのところその効果は見えていません。

熱中症による死者数の直近5年間の平均は1295人。これは、その前の5年間の平均766人と比べおよそ1.7倍。熱中症警戒アラート導入後も、熱中症による死者数は増え続けているのです。

コロナ前のことなんですが、某地方労働局で「熱中症フォーラム」というイベントがありまして、そこにパネラーとして参加しました。とは言っても、私は単に元労働基準監督官で労働安全衛生コンサルタントなだけですから、熱中症の労働災害の説明だけをして、後は他のパネラーの話を聞いていました。他のパネラーは、某労働局管内で熱中症対策に熱心に取組む事業場、産業医の先生、そして大塚製薬の方(ここだけ実名を出します)でした。たくさんのミニ知識を仕入れてきました。

「大塚製薬では熱中症対策に2種類のドリンクを出している(当時の話です)。オーエスワンとポカリスエットである。飲み方を間違えないで欲しい。熱中予防のために、休憩時間に飲むのはポカリスエット。熱中症の症状が出た時に飲むのはオーエスワン」

「熱中症の症状が出た人には、封を切らないペットボトルを与えて欲しい。自力でキャップを開けて中の飲料を飲めればそのままにしておいて良い。キャップが開けられなければ、意識が朦朧としていることだから、すぐに救急車を呼んで欲しい」

「熱中症予防には『アネゴ』が肝心である。つまり『アルコール、寝不足、ごはんをきちんと食べたか』である」

さて、熱中症対策には各企業様々な対策をしていますが、その主なものは「休憩」と「給水」でしょう。「給水」については、建設現場や工場を中心にスポーツドリンクを作業員に提供するところが増えています。もちろん無料です。ところが、絶対に職員に「スポーツドリンクを無料に提供しない」職場があります。それは公務員の職場です。

公務員といっても、皆が机の前で働いている訳ではありません。公園で草刈りをしている方もいれば、ゴミ処理場の現場で働いている人もいます。60歳を過ぎてから非常勤の公務員となった高齢者の方も多くいます。

確かに、公務員の方が税金で無料にスポーツドリンクを飲んでいるとなると非難される方もいると思います。しかし、熱中症は滅多に発生しませんが、一度発生すると、他の労災の6倍の割合で死亡災害に至ります。ここは、「民間準拠」として、現場で働く公務員の方に無料でスポーツドリンクを配布して欲しいと思います。