早期の労災認定をお願いします

(早川漁港上を通る西湘バイパスの斜張橋・小田原市、by T.M)

昔からアニメが好きでした。今から50~60年前の子供時代には、東映の「わんぱく王子のオロチ退治」とか「白蛇伝」を観ていました。完全に鉄腕アトムの世代です。今から46年前、私が15歳の時に、宇宙戦艦ヤマトはイスカンダルへと旅立ちました。それから、ジブリ映画に目覚め宮崎作品のファンになりました。そんな私が、「聲の形」(京都アニメーション制作)を3年前に観た時に、ショックを受けました。

SFでなく、戦闘場面もない、魔法もない。『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』のような日常の出来事、日常の問題の物語であるが、その画の美しさはファンタジー動画を思わせる。そして、聾唖の方とその周りの人々の生き方を通し、深い人間性が描かれる」

そんな作品の完成度に驚き、年寄りが初めて「新しい時代のアニメ」に接した気持ちになりました。

京都アニメーションの悲劇で亡くなられた方のご冥福を祈ります。

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先日、知合いのある工場の工場長から、愚痴を聞かされました。「若い人が辞めてしまった」ということでした。その工場は、私のみる限り「ホワイト」そのものの工場です。大企業ですから安定しています。労働時間については、季節的な変動があり、月に残業80時間に達する時もありますが、年間の残業時間は多い人でも300時間を切っています。第一に言えることは「サービス残業」が絶体にない会社だということです。工場の出入り時にカードリーダーで時間を記録していて、その時間通りに賃金を支払っています。工場は、一度出てしまうと、もう一度カードをかざさないと再入場できませんので、どっかの会社がやっているように、一度カードリーダーで打刻した後に作業を続けるといったことはできません。

そんな工場で、若い人が辞めたということは、その人にとっては仕事が単調に思えるせいかもしれません(実は奥が深い仕事なんですけど・・・)。昇進昇格がない訳ではありませんが、少なくとも最初の10年は工場勤めです。また。技術のマスターも可能で、それは工場の外でも通用するものですが、スキルアップに何年もかかりますし、専門性が高く狭い世界で使う技術です。でも、2年3年で辞めてしまうには惜しい会社です。現在の40歳代で就職氷河期に遭遇した人にとっては、「何であの会社を辞めるんだ」と思うでしょう。

その工場の、現場の主力は女性労働者です。地方にも工場を多く持つ会社ですが、地方の工場では、近くの主婦の方が多く働きに来てくれていて、何十年も正社員として働いています。きっと、その地方の地場の働き先のなかではトップクラスの労働条件なのでしょう。

そのような会社で、都会地区の工場では外国人の技能実習生を導入することを現在検討しています。でも、不思議な気がします。現在の日本では多くの就職氷河期世代が、安定した正社員の職を求めていますが、なぜ、このような工場にはそのような人が応募しないのでしょうか。

実際に、この工場では門戸を広げていますが、なかなか集まらないそうです。一番大きな理由は、どうも「完成されている工場コミュニティ」の中に、40過ぎた者が入りにくいということがあるようです。

そこの工場長さんは答えてくれました。「家族のいる方は、40歳すぎて入社して、若い上司の下で長く勤めてくれます。一人くらしの方はなかなか居着いてくれません」

人は「誰かのために(家族のために、愛する人のために)、仕事を頑張る」ことはできても、「自分の生活の安定のため」のみが目的な場合、職場の人間関係はけっこう重荷になるのかなと思いました。