食中毒

(松永記念館老欅荘の紅葉・小田原市、by T.M)

1/26  TBS NEWS DEG

東京・千代田区にあるホテルの社員食堂で「ノロウイルス」による集団食中毒が発生し、千代田区はこの店舗をきょうから3日間の営業停止処分にしました。

東京都によりますと、千代田区にある「パレスホテル東京」の中にある社員食堂で今月19日から20日にかけて、食事をした101人から、下痢やおう吐、発熱などの症状が出たとの報告があったということです。

いずれも症状は軽く、回復傾向にあるということですが、症状を訴えた人の便から「ノロウイルス」が検出されたことなどから、保健所は食中毒と断定しました。

この社員食堂はホテルから委託を受けた「エームサービス株式会社」が運営していて、千代田区はこの店舗をきょうから3日間の営業停止処分にしました。

上記の事件は、多分労災事件として取扱われるでしょう。私も似たような事件を扱ったことがありますが、食中毒は一度に多くの犠牲者を出す労災です。ただ単なる労災であるなら、労働基準監督署もそれを発表しません。今回のケースは、「ノロウィルス」が原因であり、保健所が営業停止処分にしたので、マスコミが記事にしたのだと思われます。上記のようなケースは珍しくなく、エッと思われるような、高級飲食店や接客業で食中毒が発生している場合も何度かありました。

(注)今回の「社員食堂」の業務形態がよく分かりません。「企業が従業員の福利厚生のために設けた施設で、もっぱらその企業の従業員専用あるいは親企業に関係の深い限定された企業が使用する」といった形態なら労災は確実でしょう。しかし、「親企業に仕事にきた者が誰でも使用でき、提供される食事が市場価格より安いが、営利事業としても成立している」なら労災になるかどうかは微妙です。

私が調査した食中毒の事件も社員食堂で起きました。卵の殻のそばに、ナムルに使用するもやしを置いていたので、ナムルにサルモネラ菌が発生したのです。30人以上被害者がいました。

その調査に行った時に、原因はすぐに判明しました。学校を出たて若い女性の栄養士が責任者だったのですが、その方の下で経験豊富な40代以上のパートタイマーが何人か働いていて、責任者である栄養士さんの管理がうまくいってなかったのです。

栄養士さんは、責任を感じてしょんぼりとしていましたが、年上の人たちをどう管理していいのか、まったく分からなか様子でした。

しかし、人の配置って、つくづく難しい。少子化が進む現在では、扱いづらい高齢者を部下に持ち、苦労している年下上司は多いと思います。そんな職場で、あの時の食中毒事件のような事故が起きないことを祈るばかりです。                            

今日は休みます

(万力公園のカピバラ・山梨市、by T.M)

申し訳ございませんが、コンサルタントとしての業務多忙のため、今週はブログ更新しません。

ご訪問頂きありがとうございます。

またのご利用お待ちしております。

神社仏閣

(万力公園の牡鹿・山梨市、by T.M)

1/12 FNNプライムオンライン

木原防衛相は12日、陸上幕僚副長など数十人が靖国神社を集団で参拝したことについて、防衛省内の通達に違反する可能性があるとして、事実関係の調査を進め、違反が認められた場合には厳正に対処していく考えを示した。

陸上幕僚監部ナンバー2の小林弘樹副長は1月9日、陸上自衛隊の航空事故調査委員会のメンバーら数十人と靖国神社を参拝した。

実施計画を定めた上、小林副長を含む複数の関係者が公用車で移動していた。

防衛省は「宗教上の礼拝所に対する部隊参拝」を禁止した事務次官通達に違反する可能性があるとして、事実関係を調査している。

木原防衛相は記者会見で、憲法が国による宗教的活動を禁じていることを指摘し、「防衛省、自衛隊においても誤解を招く行動は避けなければならない」と述べた上で「事務次官通達に違反する疑いがあることから事実関係を確認させている。

今後、判明した事実関係に基づき厳正に対処していく」と強調した。

陸上自衛隊の幹部自衛官などが集団で靖国神社を参拝したとして、防衛省は組織で宗教の礼拝所を参拝することを禁じている事務次官通達に違反する可能性があるとして、調査すると発表しました。

防衛省によりますと、靖国神社を参拝したのは陸上自衛隊の航空事故調査委員会の関係者など数十人で、陸上幕僚副長を務める小林弘樹陸将など幹部自衛官も含まれています。

スミマセン、私も労働基準監督官の現役時代に憲法違反をしていました。公用車を使用して、神社仏閣に参拝に行ってました。

年初めには、管轄内の建設業協会の方や、地場産業の方と一緒に、管轄内の神社に行って、1年間の安全祈願をしました。私以外にも、当然労働基準監督署長は行くし、局長が来ていたこともありました。管内に有名な神社がなくて、仏閣がある場合はそちらに参拝に行くこともありました。

年初めじゃなくても、死亡災害が続いた後で、ヒラ監督官だった私と署長が2人で参拝に行ったこともあります。さすがにこの時は、官用車ではなく、なにかの業務のついでに行った覚えがあります。管内で死亡災害が続くのは、管轄する行政官庁が無能だからと言われてしまえばそれまでですが、その時は、「これ以上もう災害は起きないでくれ」と藁にでもすがる思いでした。

さて、上記の記事ですが、「陸上自衛隊の航空事故調査委員会」の人が、「航空安全祈願」を神社に行ったっていうことのようですが、許しってやって欲しいと思います。「自衛隊」と「靖国神社」っていうと、色々微妙な問題もあるから、別の神社にしておけば良かったかもしれないけど、上司が部下の安全祈願をするって、情状酌量の余地があるんではないでしょうか。。

現役の時に、神社仏閣に行ったことについて、私は後悔していません。反省する点としては、そういえばキリスト教系の教会にお参りに行かなかったことぐらいです。イスラム教系の寺院については、よく分からないんですが、安全祈願などで訪問したら、それは受け入れてもらえるのでしょうか・・・

JAL機事故

(ビッグアップルと富士山・山梨県立美術館、by T.M)

明けましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いいたします。

新年早々から、大変な日々が続いています。元日に北陸地方で東日本大震災を彷彿させる大地震・津波が発生し、その翌日には北陸地方に支援物資を届けるはずの海保の航空機が羽田空港でJAL機と衝突しました。JAL機の乗客・搭乗員は無事でしたが、海保の職員5名が殉職されたことは、皆さんご存知のことだと思います。

私は、安全コンサルタントとして、今回の海保・JAL機の衝突事件について、思うところを書きます。なお、これから書くことは、今後新たな事実が発見されることによって、後日訂正が必要になるかもしれません。

東日本大震災の時に、現地に、仕事として行ったことがありますが、今回の北陸派遣について、被災した海保の職員の方たちは、心に期し現地に向かったと思います。それが今回の事故により挫折し、御本人様は元より、ご家族・関係者の方々の無念さはどれほどのものかと思われます。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

今回の事故は、概要は単純です。離着陸に使用される滑走路で、本来ならば時間差でその業務を行わなければならないのに、海保の航空機とJAL機が同時に存在したことにより、衝突事故が発生したものです。その原因として、まず第一に考えられるのが、ヒューマンエラーです。ヒューマンエラーを引き起こした者としては、次の3者が考えられます。

  • JAL機の機長
  • 海保の機長
  • 管制官

多分、今後はこの3者の責任問題が浮上してくるでしょう。もしかしたら、刑事事件にまで発展するかもしれません。しかし、ヒューマンエラーについて、それほどきつく対処することについては、私は反対です。なぜならば、人は必ずヒューマンエラーをするものだからです。叱って、ヒューマンエラーを防止できるなら、とっくにそんなものなくなっています。

では、ヒューマンエラーに人はどう対処すれば良いのでしょうか。

まずは、ヒューマンエラーをなくす個人的な努力が必要です。ひとつは訓練です。そして、飲酒や高齢による注意力の低下を考慮することです。指差し呼称、命令の復唱等もこの範疇に入ります。

次に複数の者のチェックです。一人の人間が100回に1回ヒューマンエラーをするとしたら、ダブルチェックによって、100の2乗の10000回に1回までエラーをなくせます。3人によるトリプルチェックでは、1000000回に1回にまで、確率が下がります。今回の事故の原因究明については、その複数チェックがどうなされていたかが焦点になると思います。

最後に、機械的な安全装置がどう動いたのかが問題となります。専門用語では、フェール・セーフとかフールプルーフとか言うのですが、これはどうだったんでしょうか。滑走路に誤進入を防止する目的で滑走路手前に設置されている「ストップバーライト(停止線灯)」が事故当時、メンテナンス中で運用を停止していたそうです。もし、これが本当だとしたら、とんでもないことだと思います。国土交通省によると、「使用基準には該当していなかった」等の言い訳をしているそうですが、

この機械を使用していれば、今回の事故はなかった

ということになれば、私は最大の事故責任は

安全装置を外して、機械(滑走路)を使用させた

空港管理者であると思います。今後の調査に期待します。

TDL

(オンブバッタ・山梨県清里、by T.M)

12/26 時事通信

東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)でキャラクターの着ぐるみを着てショーなどに出演していた元契約社員の30代女性が、神経や血流障害により肩や腕が痛む「胸郭出口症候群」を発症したのは、運営会社の安全配慮義務違反が原因として、「オリエンタルランド」に損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、千葉地裁であった。

 岡山忠広裁判長は請求を棄却した。

 訴状などによると、女性は2015年2月に入社し、重さ10~30キロの着ぐるみを1日3~6時間ほど着用してショーやパレードに出演。17年1月に胸郭出口症候群と診断され、同年8月に労災認定された。

 女性側は、トレーナーに上半身の痛みやしびれを複数回訴えたが、会社側はそのまま業務を継続させたなどと主張した。岡山裁判長は、トレーナーは外部の委託業者だったとして「会社への申告と同一視できない」と指摘。業務軽減が必要なほどの痛みだったと会社側が認識できたとはいえないと結論付けた。

TDLの着ぐるみを着た労働者の労災については、今年の3月に地裁で判決がでて、会社側が負けて、確か高裁に控訴中だと思ったら、この判決です。よくよく、調べて見ると別の事件でした。ということは、TDLは複数のこのような裁判を抱えているということでしょう。だとしたら、この判決理由については解せないものです。

労災発生の状況に違いがあるといっても、同じ労働をしていたものが何人も事故を起こすということは、

着ぐるみをきて行う業務

については、災害の発生の可能性が高いということになります。それなのに、記事の中にあるように、「労働者が異常を報告したトレーナーが外部の委託業者だったから会社側が認識できなかった」ということは、それでは危険な作業に従事する労働者は、誰に異常を報告したらよかったのかということです。

この論法が通じてしまうなら、会社組織をよく知らない契約社員が、体調の不良を自分の業務を管理している者に訴えたとしても、会社は「体調不良を訴えた相手が自社の社員でないので、自分たちは知らなかった」として、逃げてしまいます。

そもそも、この「トレーナー」という方はどんな立場なのでしょうか。TDLと労働契約を結ぶ労働者が、「業務を起因とした体調不良」を外部の委託業者に報告していることが異常なことです。

事実関係がよく分からず、判決の当否については判断できませんが、裁判所はその当たりを突っ込んで欲しいし、報道ももっと詳細なものが知りたいです。

さて、本日は大晦日。みなさん、よきお年をお迎え下さい。来年も本ブログをよろしくお願いします。