(横浜のマリンタワー、by T.M)
(前回のブログの続きです。)
ヤマト運輸は、自ら自社の負の情報をマスコミに提供することによって、完全に世論の影響への主導権を握りました。そして、次のようなことを発表しました。
「宅配業界の労働者の業務は苛酷である。このままでは、当社はコンプライアンス不可である。」
「宅配業界の問題点として、再配達の問題がある。再配達への対処が長時間労働を生む。宅配ボックスの普及が必要だ」
「社員の休憩時間確保のために12時から14時までの時間指定の配達を取りやめる」
社内に、ブラックの部分を抱えようとも、巨額な残業代支払いに応じるというヤマト運輸の誠意と率直な問題提起は、第3者の共感を呼びました。そして、気付いてみると、ヤマト運輸は、宅配時間の変更をし、代金の値上げまで計画し、社内の労務管理への構造改革の道筋を作ってしまいました。
このヤマト運輸の経営力については脱帽するばかりです。「危機」をまさしく「チャンス」としてしまいました。私は、32年間の労働基準監督官人生の中でも、これだけ鮮やかな変革を行えた企業は知りません。
ただ、他の企業が、労働時間短縮について、このヤマト運輸の真似をしようと思っても、なかなか難しいのが現実でしょう。
(続く)
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スミマセンが、次回(7月7日)のブログ更新は中止します。
仕事が詰まって、身動きができない状況です。
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