(野反湖の花part2、by T.M
(前々回のブログ記事「トラック会社の長時間労働」の続きです。)
昨日、愛知労働局が違法な長時間労働を行っていた事業場として、T運送会社を実名発表をしました。運送会社の労働時間に問題があることは事実です。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、平成22年の業種別労働時間数で、最も労働時間の長かった業種は「運輸業」で、年間の総労働時間の平均が2094時間でした。因みに第2位は「建設業」の2048時間です。「医師・看護師等福祉関係」「教師」「IT技術者」等個別に見ていけば労働時間の長い職種は存在するでしょうが、運送業の運転手は総じて労働時間が長いのです。
これは、「業界の事情」と言ってしまえば、それまでですが、法制度も一因となっているようです。今回政府が国会に提出しようとしている、労働基準法の改正案によると、一般産業では、「残業が原則ひと月45時間、最大で100時間まで」となるそうです。しかし、「自動車運転者」については、その規制は適用とならず、現状のままで「残業がひと月95時間前後、最大130時間前後まで可能」ということになりそうです。
某運送業の業界団体が、会員の運送会社の指導用に作成・公表しているモデル36協定では、「ひと月の残業時間は100時間まで」と記載されています。
これは、自動車運転者には、労働大臣告示「自動車運転者の労働 時間等の. 改善のための基準」(改善基準告示)が適用されるからです(厚生労働省の労働行政部門が、まだ労働省だった時に作成されたもの)。
その告示によると、自動車運転手の拘束時間(労働時間プラス休憩時間)は、「原則ひと月293時間」「最長320時間」までとなっていて、それを労働時間に換算すると、先の残業時間の数字となるのです。
(続く)