さて、労働安全衛生の話をするのなら、次の碑のことから始めなければいけません。
この碑は大桟橋の傍ら、波止場会館の敷地にひっそりと建っています。港の仕事で亡くなった人たちを追悼するために、関係者が建立したものです。 毎月1日の午前9時になると、この碑の前に何十人もの作業服姿の男たちが集合します。そして碑に黙とうを捧げると、4,5人が1グループとなり、それぞれ港湾の現場パトロールに行きます。パトロールはたいへん気合いが入った厳しいもので、些細な安全管理の手落ちも見逃しません。
「おい、そこに手すりを設けろ」「歩み板はどうした」「チェンソーの使い方はそうじゃないだろ」・・・・
パトロールの後は波止場の事務所で検討会に入り、反省点が語られます。 このようなパトロールはえてしてマンネリに陥りやすいものですが、このパトロールは違います。それは、パトロールの前に行う慰霊碑への黙とうがすべてを物語っています。 港湾労働者の死亡災害の災害調査をしたことがあります。その労働者の自宅は、労働契約書には「福富町のサウナ」と記載されていました。
それぞれの人生を歩んできた人たちが港湾の現場で働いています。そして、その人たちの安全を願い、守る人がいます。 まずは、このブログの最初にそのことを記載します。