(青梅市の旧宮崎家住宅、by T.M)
3月15日、中央労働委員会は次のような判断をしたということです。
「フランチャイズ契約を締結し、コンビニエンスストアを経営する加盟者は、労働組合法上の労働者には当たらず、会社が、加盟者を主な構成員とする組合からの団体交渉申入れに応じなかったことは、団体交渉拒否には、当たらないとの判断を示した。」
私は、この判断が少し違うかなと思いました。私の考えを述べる前に、「労働者」と「労働組合」について説明します。
今から15年前の2004年に、私は「仕事に関係ない、プライベートな友人たち」から、労働問題には詳しいんだろうと思われて、よくこんなことを尋ねられました。
「プロ野球選手が、なぜ労働組合を結成できるの? プロ野球選手って、個人事業主でなく、労働者なの?」
時はNPBの球界再編の真っ最中。楽天イーグルスが誕生するまでの混乱の過程で、プロ野球選手会がストライキを実施した頃のことです。
「労働者」という言葉ですが、実は「労働基準法上の労働者の定義」と「労働組合法上の労働者の定義」は違うものなのです。
労働基準法上の労働者を簡単に言うなら、「使用者から指揮命令をされ、時間的・場所的な拘束を受ける者」です。
実は、この「労働者性」についてはかなり奥が深く、労働基準監督署長相手の裁判ではこの問題を争点にしたものがとても多いのです。それは「労災不認定」の根拠が、「労災申請者の労働者でない」という理由が多いからです。例えば、
「建設労働者で、税金・社会保険料等は『一人親方』として個人事業主として支払っいるが、災害が起きた時に労災申請したもの」
「社長が親父さんだが、別居しているので労働者であるとして、労災を申請する従業員5人未満の会社の、社長の息子さん」
「自分で所有するトラックを会社に持込こんで、労災事故を起こした場合の労災申請」
以上の3例は、労働基準監督署の労災認定の現場でよく起きるケースで、実際に裁判までいくこともよくあります。すべて、労働者であるかどうかは微妙な事例で、ケースバイケースイによって、労災認定されたりされなかったりします。
さて、労働基準法の労働者の定義については、今述べたとおりですが、それでは今度は労働組合法の労働者の定義です。
労働組合法上の労働者とは「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(労組法3条)をいいます。
労働組合法では、「労働者の範囲」が労働基準法より広がっています。ですから、プロ野球の選手は、労働基準法の労働者ではないけど、労働組合法上の労働者であるので、労働組合が結成できるのです。
さて、コンビニーのオーナーなのですが、中労委は「労働組合法上の労働者でない」と判断しましたが、私は「労働組合法上の労働者どころか、労働基準法上の労働者になる場合もある」と考えているのです。
(続く)