(未舗装の林道川上牧丘線を下る2ストジムニー・長野県川上村、by T.M)
例えば、私(悪徳コンサルタント)が事業主から次のような相談を受けたとします。「さっき、退職代行業と名乗る人から電話がかかってきました。何のことか分からないから、後でもう一度電話をくれと言っておきました。電話がかかってきたら、対応してくれませんか。」
さあ、私はどう対処しましょうか。まずは、水際作戦はどうでしょうか。
退職代行・電話「私は××会社の○○ですが、貴社のAさんが退職したい意思を持っているのですが」
私「あなたは誰です」
退職代行「ですから××会社の○○ですが、Aさんの代理の者ですが」
私「当社が誰を雇用しているかは企業秘密であり、また個人情報保護の観点から教える訳にはいきません。私が、その『Aさん』とやらのことについては話すことは、『Aさん』が当社に勤務していることを認めることになります。ですから、あなたとの電話には対応しません。」
退職代行「Aさんの代理と言っているんです」
私「この電話であなたが何を申し上げても、私はイタヅラ電話の可能性があるので、何も対応もしません。あなたの話しが本当なら、こちらに委任状でももって出向いてきてらいかがですか。もっとも、その場合でも、まずは委任状の真贋について確認します。」
退職代行が弁護士資格を持つものでなければ、このへんで引き下がるでしょ。
また、水際作戦でなければ、次のような対応はどうでしょうか。
私「Aさんの退職については了解しました。つきましては、最後の給与は直接本人に渡しますので、事務所まで取りに来て下さい。」
退職代行「今までどおり、銀行振込みにして下さい。そうでなければ、賃金不払いの法違反となります」
私「労働基準法弟24条には、賃金は『所定期日』に『通貨』で『直接本人』に支払うことが定められています。この原則の例外事項として労働基準法施行規則第7条の2に『労働者の合意があれば、銀行振込みができる』とされています。私は、今、A氏の代理人であるあなたに『賃金の支払方法を直接本人払いとする労働条件の変更』をあなたに通知しました。『労働者の合意なき労働条件の不利益変更』は認められませんが、『労働基準法の原則である直接払い』に変更することは、『労働条件の不利益変更』になるとは思いませんので、賃金不払いの法違反は発生しません。監督署へでもどこにでも行って下さい」
(注)前にも書きましたが、悪徳コンサルタントの目的は「正しいこと」を主張するのでなく、「難癖をつけて」相手を煙に巻くことです。
さて、ただ悪徳コンサルタントであっても、一応事業主には次のようなことを話しておきましょう。
「本人が連絡もしてこないで、代行を名乗る者が電話だけで退職するなんて、ひどい労働者ですよね。でも社長さん、何かこのようなことを労働者にされる覚えがありませんか。例えば組織内でイジメがあったとして、それが『組織ぐるみのイジメ』でなくても、『上司が、部下どおしのイジメの存在を知っていて、組織が何も措置しなかった場合』は、会社の責任が問われることもありますよ。今後は同様なことがおきないように労務管理が行えるようになったら、今回の事件が一時的には不愉快であっても、長期的にはメリットがあったと思えばいいのではないですか」