(松田町松田山、by T.M)
ブログやっていると、突然知らない人からメールがくることがあります。誹謗中傷もあり無視することも多いんですが、中には取材であったり、新しい情報を得るためこちらから連絡を取りたいと思えるものもあります。
先日、小学校の同級生I氏から50年ぶりの連絡がありました。私はマルチ商法の勧誘かと思い、少し身構えましたが、相手のことを検索すると、立派な大学教授でした。I氏は、何か「リカウント」という大学を卒業した後に学びなおす教育に関係しているらしく、それが再雇用と結びつくことで、文科省の指定を受ければ支援を受けることができます。その支援について地方労働局との連携が必要なのですが、私にそのような事業支援に心当たりはないかという話でした。
さっそく、オンライン飲み会をやりましたが、冒頭から注意を受けました。
I氏:「(リカウント)ではなく、(リカレント)だから。深層学習のRNNのRだ。」
私:「・・・無言」
I氏:「それから、このオンライン会議をやるに、君の手際が悪かったようだが、ITリテラシーが低いな」
いきなり「英語」と「IT」の指摘です。Iさん、私はあなたが、英語の研究論文に目を通している時間に、死亡労働災害の調査や過労死の調査をしていたんですよ。まったく違う道を歩んできたのですから、50年間の間に隔たりができても当たり前でしょ。(もっとも、小学校時代から、彼は私よりはるかに成績が良かったんですが)
それから、お互いの病気持ち自慢が始まりました。
私:「8年前にギランバレー症候群という病気をやってしまい、それ以来神経系統がやられてしまい、下り階段を手すりを掴まなければ降りれないし、ペンを持ち細かい字を書くことができない。パソコンがない時代なら生活保護をもらっていたと思う。」
I氏:「それなら、私だって、×××で○○○だ」
この老人ならではの熱い会話で、私たちは徐々に昔のように話すことができるようになりました。
話が盛り上がってきたところで、私は「リカレント云々」について、ハローワーク所管の話であり、どうも力になれないことを伝えました。すると、I氏は次の話題として、「アジャイル開発」というものを持ち出してきました。彼はこの agile software development の専門家でもあります(本も執筆しています)。
I氏からの説明でわたしが理解した「アジャイル開発」とは、次のようなものです。
ソフトウェア作成にあたり大まかな仕様を決めた後は、「委託先、受託先のチーム全員が同一場所で一緒に働き、フラットなコミュニケーションを行いながら開発を行う」このように作成することで、素早く(agile)ソフトウェアを開発することが可能であり、世界的に行われている。
まあ、私の理解は拙いものですが、I氏から特に反論もなかったもので大まかはあっていると思います。
このアジャイル開発について、「委託先から受託先の労働者に直接指揮命令していることになるのではないか」、すなわち「偽装請負の疑いがあるのではないか」ということが現在「内閣府の成長戦略ワーキング・グループ 」で問題になっています。それは次のようなものです。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210225/agenda.html
このURLにあるとおり、厚生労働省の見解は、次のとおりでした。
「偽装請負」であるかどうかはケースバイケース。今後、この件については「Q&A」を作成する
私はI氏に、「偽装請負」については、少しは意見を言えると答えました。そして、これは「請負」だからいけないのであって、「派遣」にすれば問題がなくなるのではないかと言いました。I氏は次のように答えました。
I氏:「これは基本的に請負でなくてはダメだ。派遣とするなら、例えば毎日1時間くらいの派遣を認めてくれなければ対応できない。
(注)ここでなぜI氏が「請負」にこだわるのか聞きそびれましたが、多分「知的所有権」等に係ることだと想像します。
そこで私はI氏に、「偽装請負」及び「時間単位の派遣の可能性」について調べることを約束しました。
翌日、私はA地方労働局の需給調整事業課に電話相談していました。同課は、「職業紹介事業及び労働者派遣事業に関すること」を行うところです。職業安定部(ハローワーク関係)に所属する課で、労働基準部出身の私としては縁遠いところです。
そこの相談員は「アジャイル開発における時間単位の派遣」については理論上は可能だという見解でした。
私は念のために、別の地方労働局(B地方労働局)にも同じことを尋ねました。するとそこでは「ダメだ」という返答でした。
まったく違う返答に私は困惑しました。
(続く)