熱中症!

(1日モニターで試乗したポルシェの電気自動車タイカン、by T.M)

読売新聞 6/1

 熱中症による死傷者が増える中、事業者に職場での熱中症対策を義務付けた労働安全衛生法の改正省令が1日、施行された。従業員が熱中症となった場合の応急措置の手順策定などを求め、対策を怠った場合の罰則も設けられた。

 対策の義務化は、気温や湿度などから算出する「暑さ指数」(WBGT)が28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上か1日4時間以上作業する事業者が対象。

 対策の主眼は「重症化予防」だ。熱中症の恐れのある労働者を早期に発見して職場で報告する体制を整えるほか、応急措置を施したり医療機関を受診させたりする手順を定めることを義務付けた。整備した体制や手順について職場内に周知することも求める。違反した場合、6月以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が科される。

 厚生労働省によると、職場で熱中症となって4日以上の休業を余儀なくされるなどした死傷者は昨年、過去最多の1257人に上った。死者は31人で、3年連続30人台で推移している。

時期的にこの話題を取り上げなきゃまずいと思うので、今日はこの話です。今回の法改正ですが、真剣に取り組もうと思うと、おそろしく深いし、法違反にならないテクニックを使えば、別に悩まず対処できます。

まずは、適当な対処方法から。それは「マニュアル」を作ればよいのです。

今回の法改正のポイントは2つです。

1 熱中症が起きた時の対処方法(どこに連絡するのか)を確立すること

2 熱中症が起きそうな職場で、防止対策(休憩、給水をどうするか)を確立すること

上の2つを含むマニュアルを作ればいいのです。そして、ここがポイントなんですが、そのマニュアルを「守らなくとも、周知させれば」、法の要求の最低水準はクリアできます。要するに、マニュアル作って、壁にかけておけば良いのです。

なんで、こんな中途半端な法になったかというと、熱中症とひと言でいっても、職場ごとに環境が違うので一律に規制ができないからです。

真面目に熱中症を防ごうと思えば、これはたいへんなことです。まず、熱中症の起きそうな職場とはなんなんだということから検討しなければなりません。厚生労働省ではWBGT値28度以上が危険だとしています。

(注)WBGT値とは、何か。昔、小学校の授業で習った湿度計を思い浮かべて下さい。乾球と湿球がならんでいるやつです。湿度の2本の水銀柱のとなりに、もう1本水銀柱を加え、その水銀注の底辺の水銀溜まりを真っ黒に塗ってやればWBGT計のできあがりです。黒く塗ったものを黒球といいます。WBGT値は、日の当たる場所で次のとおりです。

WBGT値 = 0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×気温(乾球温度)  

しかし、すべての職場でWBGT計が備え付けられる訳ではありません(屋外職場はどうするのでしょうか)。

それから、「熱中症が起きた時の対処方法」といいますが、職場で「頭が痛い」と訴える人がでた時に、それが「熱中症」によるものなのか、そうでないのか、どう判断したらよいのでしょうか。これも難しい問題です。

熱中症をどうとらえるか?建設現場と、オフィスの中と、工場と、倉庫の中とではひとつひとつ違うので、企業はその職場の最適解を各々検討する必要があり、安全衛生担当者は非常に悩むものなのです。実は、私が現在相談員を務める某労働災害防止団他にも以上のような相談が連日きます。一生懸命、熱中症対策を考えている会社が多いんだなと、ちょっと嬉しくなる