
(出雲大社、by T.M)
お久しぶりです。何か、来年1月から発行部数3万部ほどの安全衛生関係の雑誌に私の記事の連載がされそうです。詳細は決定してからお知らせします。しかし、こういう話はもっと若い時に欲しかったと思います。
琉球新報 9/3
那覇労働基準監督署は2日、フォークリフトの運転資格がない従業員に運転業務をさせたとして、浦添市の運送会社と同従業員を労働安全衛生法違反の疑いで那覇地検に書類送検した。
同署によると、今年2月、同従業員は資格を持たずに同社倉庫で最大荷重1・5トンのフォークリフトを運転した疑いがある。
短い記事なんですが、監督署はよくやったと褒めたいと思います。
どうして、この送検のことを褒めるのかというと、「死亡災害」が関係してないからです。厚生労働省のHPには、定期的に全国の労働基準監督署が送検した事例を掲載しているのですが、労働安全衛生法関係の送検は、ほとんどが死亡災害がらみです。
今回のような送検を監督署では、「死亡災害の発生する前に送検する」ので「事前送検」と呼びます(嫌な言い方です)。
事前送検される事業場は、ある意味「死亡災害」を発生させる事業場より悪質です。なぜなら、たった1回の法違反を監督署が見つけたからといって送検されることは絶対にありません。繰り返し法違反を行っているのを、監督署がマークしているから送検までするのです。もしかしたら、そのような会社の中から、誰かが内部告発するケースもあります。
事前送検は死亡送検と違ってやり易い側面があります。
(注)労災死亡災害関係の送検を監督署内部では、「事前送検」と対にして「葬式送検」と呼びますが、その呼び方は嫌なので、このブログでは「死亡送検」と呼びます。
事前送検では、証人がすべて揃っているのです。死亡送検は、最大の証人が事故で亡くなっていることがほとんどなので、犯罪行為の立証が難しいのです。
もちろん、事前送検にもやりにくい所はあります。その最大の理由は「被疑者の抵抗が強い」ということです。死亡送検なら、送検去れる方はある程度覚悟しているのですが、事前送検の場合は、「これくらいでなんで自分が」と思っているケースがほとんどです。ですから、事前送の場合は監督署は最悪のケースを予想します。それは、裁判所から令状をとっての「強制捜査」を実施することです。(「逮捕」はさすがに難しいかも)
今回の那覇署の送検がどのくらい被疑会社の抵抗があったかは分かりませんが、多分色々なドラマがあったはずです。それが想像できるから、この送検はすごいと思うのです。