(乙女高原に咲く花part2,by T.M)
トヨタの新人事制度の概要が見えてきました。次のようなものです。
第1 係長以上の者を対象とする
第2 残業代を45時間分を、残業をしてもしなくても、対象者全員に毎月支払う。
第3 出退勤時間は、対象者の裁量にまかせる
第4 労働時間の把握は会社が行う
第5 会社が把握した対象者の労働時間が「45時間」を超えていたら、差額の残業代を支給する
web上で既に指摘されていますとおり、これは労働基準法の「裁量労働制」には該当しません。労働基準法上の裁量労働は、「専門型」と「企画型」の2種類があって、どちらにも該当しないからです。
労働基準法では「始業時間」と「終業時間」を、予め労働契約で明確にしておく必要があります。もちろん、この両時間について変更することは可能ですが、「労働契約の変更の手続き」を行わなければなりません。具体的には、労働者と使用者が、その都度話合い合意に至るということです。そんな面倒なことをトヨタいちいちしないでしょう・・・
色々、考えていたら、つまりこの制度は次のようなものであると気づきました。
「固定残業手当を支払うフレックスタイム制度。ただし、ひと月の実労働時間数が所定労働時間以下でもかまわないし、総労働時間は36協定以内とする。」
このような制度であるなら、確かに労働基準法上は可能です。私の想像どおりであるなら、うまい制度を考えたものだと思います。
この固定残業時間制度において、トヨタが支払う固定残業代は平均17万円程度となるそうです。ひと月の所定労働時間数を170時間とするなら、基本給は約50万円程度となりますので、残業代込みで月給70万円弱くらい。年収は1000万円を超えるでしょう。
この給与額は、さすがトヨタです。また同社のことですから、コンプライアンスには厳格だと思いますが、願わくば「トヨタがそうだから」といって、ブラック企業がこの制度を悪用しないように願います。