労務管理の方法

(ラストラン当日の国鉄特急色381系特急やくも8号・山陰本線米子駅、by T.M)

IT MEDIA ビジネス 12/10

過失の程度や結果の重大性によっては、時代に即した適正な処分を行う──滋賀県長浜市の浅見宣義市長が示した、市役所職員の事務ミスに対する厳罰化の意向が注目を集めている。

長浜市では、昨年度から市の補助金交付や国の交付金申請などにおいて不適正な事務処理が相次いだ。同市では、単純な過失による事務ミスについて処分はしてこなかったが、こうした状況を問題視。浅見市長は9月定例月議会の提案説明において、市役所職員の事務ミスの処分を強化する考えを示した。

労務管理の原則に、「ズルは処分できるが、馬鹿はどうしようもない」というのがあります。要するに、不正については処分等はできるが、能力のない奴はせめられないということです。何度言ってもヒューマンエラーする奴は、言っても無駄だから、職場を変えるくらいしか対処方法はないという意味です。

Wikipediaで確認すると、この長浜市長は元裁判官だそうです。「故意」だけでなく、「過失」「重過失」等についても法違反は成立するので、記事のような労務管理を発想したのだと想像します。私も、論理的には可能だと思います。職員のミスで外部に損害をかけた時に、外部に弁済するのは組織ですが、組織は内部で職員の責任を追及できます(民放715条参照)。

ただし、この場合、職員はかなり反発するはずです。正式な処分を行うとしたら、懲罰委員会が開催されなければならず、役所関係では労働組合が委員になっているため、きっとそこで揉めるでしょう。また、いったん処分が決まっても、次に裁判があります。その時には、そもそも職員がミスをしないための管理体制ができていたのかも問題となります。

 「脅し」の労務管理は一定の効果があると思いますが、ミスを恐れて、慎重になりすぎて、時間ばかりかかるようになる可能性もありますし、「締め上げすぎる」と最終手段として「怠業」(あえて仕事をゆっくりする)が発生するかもしれません。 

そう考えると、現況の「人事考課」というものはよくできているのかもしれません。「ミス」を理由に就業規則上の処分は難しいですが、人事考課での評価下げは自由です。要するに、「処分」という脅しではなくて、「ボーナスの額」と「昇給の早さ」という飴で職員のやる気を出させる方法です。

でも、公務員なんですから、「脅し」や「飴」でなくて、社会的貢献のために仕事に意欲を持ってもらうことが第一と思うんですけど、法律だけ考えていた人に、職員をその方向に引っ張るリーダーシップを望むのは難しいのでしょうか?

コラムと雑誌掲載について

JR木次線の絶景ポイント・出雲坂根〜三井野原、by T.M)

今日は私の書いたコラムの紹介と来年から連載される雑誌の掲載記事の紹介です。

安全週間のコラムです。

https://www.jisha.or.jp/info/campaign/anzen/column.html

「年末年始無災害運動」のコラムも書いたんですけど、まだ公開されていません。

月間雑誌「安全衛生のひろば」に1年間執筆します。

雑誌に載せるということで、私の写真を求められたのですが、人一倍醜悪な70近い私の顔写真など人を不愉快にするだけなので、「50年前の美少年の頃の写真でどうだ」と言ったら先方から断れました。仕方がないので、イラストでごますことにしてたのですが、「情けない顔のピットブルが作業服をしているアバター」を先方に希望したところ、AIで3分で作ってくれました。まだ、このブログで公開するわけにはいかないのです、来年でも紹介します。しかしAIって凄いですね。

カスハラ

(三段式スイッチバックが見られるJR木次線の出雲坂根〜三井野原間の風景、by T.M)

11/11 東海テレビ

愛知県美浜町の職員にカスタマーハラスメントをしたとされる住民に対し、損害賠償を求め提訴を辞さない構えです。

美浜町によりますと、住民の男性(60代)は2019年ごろから、役場のほぼ全ての部署に対して、窓口や電話で「お前たちは嘘つきだ」と暴言を吐くなどカスハラ行為を続けていたということです。

今年4月以降には、およそ800件の暴言が確認されました。

職員から「何とかしてほしい」と要望を受け、町は11日に臨時の議会を開き、対応した職員の給与相当額にあたる400万円の損害賠償を求めるなどの議案を提出し、全会一致で可決されました。

以前にも書いた話なんですが、私がF労働基準監督署に勤務していた時のことです。労働基準法違反を申告してきた女性が、現在で言うカスハラをする方でした。朝9時にその方から電話があったのですが、ちょうど私が外出しようとしている時でした。そこで、しばらく前に雇用した非常勤職員(60歳以上男性)に要件を聞いておくように指示して出張に行きました。午後3時半にかえってきても、その非常勤職員が電話を続けているようなので事情を尋ねると、朝から電話が続いているとのことでした。あわてて、電話を替わって、終わらせましたけど、その非常勤職員はメンタルをやられクタクタになっていました。あの時の非常勤職員には本当に申し訳ないことをしたと思います。

今の時代なら、「非常勤職員1日分の賃金」を請求をすることができるのかな、なんて思います。

また、こんなこともありました。こんどはT労働基準監督署でしたが、やたら告訴状をもってくる人もいました。労働基準監督署というところは、告訴状を持ってこられたら、供述調書(告訴調書)を作成しなければならないのですが、それが「休憩が15分短かった」とか「残業代が10分ついていない」等の微罪ばかりで、時間ばかりとられていました。

ある時から、その人は姿を消しました。いなくなる直前に、深夜に監督署の留守電に4時間ばかり、監督署の悪口が吹き込んでありました。あとから事情が分かったんですが、飲み屋で知り合っただけという「ヤクザ」の名前を使って事業主を脅したところ、後からそのヤクザから本人に電話があり、あわてて夜逃げしたということでした。

労働基準監督署には、「ヤクザ」や「暴力団」みたいな方がやって来てたいへんだろう、という人もいますが、お金目当ての人はあまり監督署に迷惑はかけません。監督署の業務は、いわゆる「利権」がからむことがないので、金にならないことが分かると、この手の人はさっさと手をひきます。(労災保険関係の不法行為をする人は別です)。

業務妨害をするのは、「孤独な人」や「さみしい人」です。あたるところがなくて、行政機関にからむのです。それがわかっていても、何もできないのが役所です。

来週はブログ休みます。寒くなって来たこの時季に、甲府の山の中の事業所まで出張に行ってきます。ブログ再開は11/30です。

通勤手当

(石州瓦の民家・島根県木次市、by T.M)

朝日新聞 9/20

東京都八王子市は19日、市職員97人が通勤手当を不正に受給していたとして、計1671万円分が返納されたと明らかにした。実際の不正受給額が確定し、調査が終わり次第、関わった職員を処分する方針。

 市によると、都内の自治体で昨年、同様の問題が相次いだことを受け、調査を実施。市の正規職員約2700人のうち、昨年9月時点で公共交通機関を利用すると届け出た1111人を対象に、聞き取りなどで実態を調べた。その結果、166人の職員が、バスや電車の定期券を購入せずに徒歩で通勤していたり、届け出た通勤経路とは違うルートだったりしたことが判明。このうち、届け出と実態が大きく異なる97人の職員に対して返還を求め、昨年末までにバスや電車の定期代計1671万円が市に返納されたという。最長5年半、計135万円を受給していた職員もいたという。

 多数の職員が関わり、一部区間の不正も含まれているため、調査に時間がかかっているとし、市職員課の担当者は「急いで調査を進め、職員の処分については厳正な対応をしたい」と話している。

これけっこう難しい問題なんですよね。「実際は近くに住んでいるのに、遠方の親の家から通っていることにして、通勤手当をごまかしもらっていた」こんな分かりやすい事例だといいんだけど、実際は「普段は健康のため歩いていました。雨が降ったらバスに乗ってました」みたいなことが多いと思います。「バスに乗った分だけ請求すればよい」なんて簡単に思う人は、総務・経理系の仕事をやったことなない人。業務簡素化に逆行することは明らかです。

このように通勤方法が何通りかある人にとって一番問題なのは、「通勤途上の災害(通災)」が発生した場合です。通常の通勤経路で被災すれば通災となりますが、それ以外はダメです。通勤手当の不正受給がなされていた場合、通常の経路(不正経路、徒歩)で事故がおきても、「バスを使っていないからダメだ」と言われかねないです。これ、けっこう大きなことですよ。

通勤災害と労働災害の労災保険の補償の内容は同じです。そして、労災保険とは他の社会保険と比較し手厚い補償となるケースがあり、若くして働き手をなくした一家への遺族年金保障等で大きな違いがでることがあります。ケチ臭い通勤手当の不正受給をして、このような補償が受けれなくなることは馬鹿馬鹿しいものです。

(注)労災と通災の違いは、労働基準法第19条に規定される「解雇制限」が適用されるかどうかです。