バイトのくせに・・・

(紅葉、by T.M)

「バイトのくせに」「バイトだから責任感がない」「所詮、バイトは」・・・

これは、先週木曜日に放送されたドラマ「ドクターX」の中で、主人公大門未知子医師に浴びせられた罵声です。

ところが、ご存知のように、手術をさせたら、この大門医師を超える医師は組織の中にはいません。そして、医師の技術だけでなく、「患者ファースト」の医師としての志も、大門氏は並の医師をはるかに凌駕します。(さすがに、この「志」の部分は、大門氏に匹敵する医師が、ドラマ中に何人かでてきますが、腕とハートを兼ね備えるのは彼女のみです)

ドクターXの脚本家の中園ミホ氏は、ドクターXの第1シーズン(2012年)に先立つこと5年前に、「ハケンの品格」というドラマを脚本し、放送文化基金賞を受賞しています。

このドラマの主人公は篠原涼子さんが演じていましたが、「無数の資格を持つ、時給3000円を超えるSクラスランクの女性派遣社員」という設定であり、物語はその主人公が組織の者を超える活躍をする話ですが、テーマはドクターXと共通しています。

また、中園氏は、NHKの討論会において、「過労死は自己責任」「派遣社員は幸せだ」「労働基準監督署は不要だ」と述べる経済同友会の幹事の実業家奥谷礼子氏に対し、「いま私、ここの間に深くて大きい川が流れているような気がしたんですけど」と述べ反論したことでも知られています。

来年のNHKの大河ドラマ「西郷どん」は、その中園氏が脚本を担当します。今から、とても楽しみです。

ブログ再開です - 就職しました

(鬼怒川の紅葉、by  T.M)

労働安全衛生コンサルタント事務所を開設してから18ヶ月間、様々な人々に出会い、たくさんのアドバイスを頂き、色々な経験をし、貴重な時間を過ごしましたが、認知症の母の介護施設への入所を契機に再就職することとしました。

ご支援頂きました方に厚く御礼申し上げます。 

今度の職は、労働安全衛生コンサルタントの資格と、労働基準監督官での経験が生かせるもので、主な仕事は労働安全衛生法関係のセミナー講師と企業の安全診断です。この職での仕事のことや職場の件は守秘義務があるので一切書きません。 

今は毎日、東京まで通勤しています。フリーランスだったころの気ままさと比べられないくらい規則正しい生活です。

今年の6月と7月(安全週間の前後)は、忙しかったです。6月30日に大阪の講演会、翌日青森で某社の安全大会の出席し、その翌々日には新潟なんてこともありました。この2月で×百万円を超える収入がありました。そのかわり8月は悲惨でセミナー1件35000円しか収入がありませんでした。このジェットコースター生活から、今は毎日9時ー5時の生活です。報酬もそこそこです。

― というより、60歳の元公務員の再就職としては良い方だと思う。上をみたらキリがありません。 ー

 

ブログもやめようと思いましたが、これまでの7万件近いアクセスがありましたし、何よりも今まで写真を提供してくれたT.M氏(相変わらずポルシェに乗っています)が、継続しろというので、自分の思い出話なんぞ、これからも細々と書いていくつもりです。

今までのように、週2回更新という訳にはいかないので、週1回・日曜日更新を目標とするつもりです。

(できなかったら、ごめんなさい。)

 

元労働基準監督官のムダ話、今後もよろしくお願いします。」

 

普通の日記(29年9月19日)

(野反湖、by T.M)

先日、「三度目の殺人」という映画を観ました。拘置所の謁見室での、殺人の疑いをかけられた男とその弁護士の会話を中心に話が進んでいきます。その映画を観た時に、監督官時代のある人との会話を思い出しました。 

ある大手流通業の社長を監督署に呼出し是正勧告書を交付したことがあります。理由は残業代不払・サービス残業です。その会社では、従業員たちが一定の時刻にタイムカードを打刻し、その後でも働いていました。従業員による匿名申告で事件が発覚したものです。 

「申し訳ございませんでした。」社長は、監督署の事務室で私と名刺交換をした直後に、こう切り出しました。私は尋ねました。「なぜ、謝るのですか。」

社長:残業代を払いませんでした。

私 :残業代を払わないことは悪いことですか。

社長:(怪訝そうに)法律違反だから悪いことです。

私 :人を殺すことは悪いことですか。そして、それは法律違反だからですか。法律に違反していなければ、人を殺すことも許されますか。サービス残業は、単に法律に違反しているから悪いことですか。

社長: ・・・・・ 

さらに私は質問を続けました。

私 :なぜ「私」に謝るのですか。

社長:いえ、個人的に「私からあなたへ」謝った訳でなく、「法人から行政機関に対し謝罪している」ことを表現したかったのです。

私 :今回の法違反について、「法人から行政機関に対し」謝罪する必要はありません。謝罪するなら、被害労働者に対し行うべきではないですか。

社長:・・・・・

 

もちろん、この時私は、社長のことを試していたのです。

随分と(私は)上から目線ですが、それは会社としての法違反の事実があるからこそ、一介の監督官が大企業の社長に対しできる会話です。 

私は、多分この時、「この社長」がなんとなく「善人だ」と感じ、コミュニケーションを取りたくなったのたのだと思います。

監督官をやっていると、そんな一瞬が時々ありました。

 

 

気になる報道(29年9月15日)

(野反湖の花5、by T.M)

「youは何しに日本に」という人気番組で、高知県の漁業協同組合へカツオ漁の技術を学びに、技能実習生としてインドネシアから来日している18歳から20歳くらいの若者たちのことを取り上げたことがあります。彼らは、総勢数十名で、漁協が用意してくれた寮で集団生活をしていますが、番組では彼らが、異国で仲間と学び働く様子を、生き生きと描いていました。彼らは、帰国後インドネシアで漁業発展のために働くそうです。また、漁協の方では、受け入れ態勢に万全の準備をしているように思えました。

このような働き方こそが、技能実習制度の目指すところでしょう。

ところで今週、技能実習制度について、気になる新聞記事がありました。次のようなものです。

「アホ」「死ね」パワハラで鬱病、34歳カンボジア人を労災認定 立川労基署(9/12(火) 18:03配信:産経新聞)

 東京都内の建設会社で勤務していたカンボジア国籍の技能実習生の男性(34)が、上司から「アホ」「死ね」などの暴言を含むパワーハラスメント(パワハラ)を受け鬱病になったとして、立川労働基準監督署(東京)が労災認定していたことが12日、分かった。認定は6月7日付。

 記者会見した男性は「誰と相談したらいいか悩み苦しんでいた。外国人は労災があることを知らないので、これから働く人も助けてほしい」と訴えた。

 労基署の調査復命書などによると、男性は平成26年6月に来日後、建設会社で配管工として働き始めた。直後から言語などの問題で、上司から暴言を吐かれ、工具でヘルメットをたたかれるなどの暴行も受けた。

 27年9月、現場で作業中に電気のこぎりに巻き込まれ、左手人さし指の先端を切断。事故後、社員から「金欲しさにわざと切ったのだろう」などと暴言が繰り返され、病院で鬱病と診断された。

 28年11月に労災申請したところ、立川労基署が今年6月、「上司の言動が業務指導の範囲を逸脱しており、人格や人間性を否定するような言動が含まれていた」と指摘した。 

この新聞記事が事実としたら、許せないことだと思います。

いくつか指摘する点はありますが、まず第一にイジメの原因となった、「現場で作業中に電気のこぎりに巻き込まれ、左手人さし指の先端を切断」という事故はどのようなものだったのでしょうか。工事現場で使用されている電動ノコギリは、可搬式の物と据え置き式の物がありますが、両者とも安全カバーの規格が法で決まっていて、法を守る限り、指が挟まれることはありません。そして、この機械については、「作業の効率」を目指すために、安全装置を無効にして作業を行うことがよくあるのです。労働基準監督署は、この事故についても調査をして欲しいと思います。

「イジメ」の問題については、論外です。技能実習生を受け入れる場合は、企業単独で受け入れる場合と、仲介団体(監理団体)を通す場合があります。業種から考えて、今回のケースは監理団体を通しての技能実習生の紹介でしょう。監理団体そのものに問題があるかもしれません。

いずれにせよ、今回のような問題が発生した場合は、被害者以外にも、冒頭ご紹介したような優良な技能実習生受入れ機関に迷惑が係る場合がありますので、監理団体の監査等を関係機関が厳重に実施して欲しいと思います。