役所の非常勤職員

(山梨県立美術館のカフェ、by T.M)

毎日新聞 3/10

非正規で働く公務員の「会計年度任用職員」の雇用問題に取り組んでいる労組が、非正規公務員から寄せられた労働相談の内容をまとめた。相談内容はハラスメントが最多だったが、仕事の雇い止めやサービス残業などが重複して起こっているケースが多く、担当者は「(非正規雇用の)制度や職場慣行に起因する構造的な問題だ」と指摘している。

 相談内容をまとめたのは労働組合の全国組織の全労連。昨年12月に、非正規公務員を対象にした全国一斉の電話相談を実施した。380件の電話があり、うち172人の相談に応じた。そのうち分類可能な相談100件(複数回答有り)を分析したところ、相談が最も多かったのがハラスメント(パワハラ、モラハラなど)で58%。次いで、雇い止め・更新拒否(46%)▽賃金不払い・サービス残業(39%)▽長時間労働・業務過多(34%)▽正規・非正規の格差(31%)――などだった。ハラスメントの相談の多くは、雇い止めや賃金不払いなどと重複してあった。

 ホットラインに相談した沖縄県の公立図書館で非正規の司書として働く女性(45)は、8年間続けた仕事を3月末で雇い止めになると通告された。役所は図書館職員を公募するとし、女性らが応募したが、不合格とされ雇い止めにされた。女性の他にも10年以上の経験があり、図書館運営の中心で働いていた非正規の司書も不合格で雇い止めとされた。専門職だが、募集要項に資格要件はなかった。女性は「自分の勤務評定も含め、なぜ不合格なのかは一切明らかにされない。専門職を低賃金で雇用不安の中で働かせるのは許せない」と話した。

 ほかにも、「月20時間も残業しているのに残業代が支払われない」(学校栄養職)や「正規の先生に『あの人は先生ではないから』と生徒の前で言われた」(非常勤学校講師)など多数の相談があった。

 同労組の黒沢幸一事務局長は「非正規公務員が置かれている1年雇用などの不安定な立場が、ハラスメントや違法な労働慣行を生む温床になっている。制度の改善が必要だ」と話している。

労働基準監督署で臨時職員の採用の面接官をしたことがあります。その時に困ったのは、「職を探している子持ちの訳あり女性」とか「50歳で失業して職を探している人」等について採用を控えなければならなかったことです。どれだけ優秀な方でも、意欲溢れている方でも採用しませんでした。なぜって、「責任がもてない」からです。これは、組織の暗黙の了解でもありました。

面接官としては困っている人を採用したいんですよね。でも、契約期間が最初から決められています。もし採用して、どうしても契約を更新たいと思っても、予算の申請を毎年行わなくてはならず、それが通るかどうかは分かりません。そんな不安定な職に、安定した職を切望している方を採用できないのです。

だから、採用するのは「以前は企業で働いていた専業主婦で子育てが終わり小遣い稼ぎで働きたい人」とか、「年金もらっているが、時間つぶしに働きたい高齢者」が多くなってしまうんです。

一番、採用したかったのは65歳以上の行政OBです。退職直後の60歳前後のOBで、非常勤職員に応募というのは、何か本人に問題があるケースがあることが多いのですが、65歳になって第二の就職先も定年となった優秀なOBは、仕事が分かっている人が多いので大歓迎でした。採用担当者としては、複雑な気持ちでした。

さて、上記の新聞記事についてですが、「労働条件の運用」については働く人の希望を受け入れ正規職員より柔軟に、そして場合によっては正規職員より良い労働条件を示すべきであると思います。しかし、「安定した継続雇用」となると、なかなか難しいというのが雇用する側の本音であるような気がします。

高齢者の労働災害防止

(笛吹川フルーツ公園・山梨市、by T.M)

つくづく厚生労働省の安全衛生部局はアピールすることが下手だなと思います。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/newpage_00010.html

高齢労働者の労働災害防止のために、企業が高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善等を行うことが、今年の4月1日から義務化されます。このための労働安全衛生法の改正について、1年前に公表されましたが、企業が行うべき具体的な措置内容については、労働安全衛生法第六十二条の二の第2項で、 「厚生労働大臣は、前項の事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする」と規定され、後日に発表される「指針」に委ねられることになりました。

その指針が上記のリンク先ですが、4月1日から法の施行が始まるのに、指針の発表が2月10日です。企業はこの法改正について、この短期間にどのように対応しろというのでしょうか。

さらに言うとこの「指針」って、これからの高齢化社会について、けっこう重要なものだと思うのですが、どのマスコミも取り上げていません。なぜかと思ったら、厚生労働省のHPの「報道発表資料」には、この「指針」についての掲載はありませんでした。

官報とHPに掲載したとしても、改めて「報道発表」しなければ、マスコミは取り上げてくれないでしょう。本当にアピールが下手だと思います。

実はこのようなことが昨年もありました。熱中症対策の義務化が昨年の6月1日から始まったんですが、詳細のリーフレットを待っていたら公表されたのは4月の終わりでした。

厚生労働省の安全衛生部局が多忙なのは分かりますが、その政策は労働環境を根本から変えていくものですから、情報の伝達は、もっと積極的に行って欲しいと思います。国民は期待しているのですから。

裁量労働制への提言

(シマリス・智光山公園こども動物園、by T.M)

毎日新聞 2/20

高市早苗首相は20日の施政方針演説で、あらかじめ決めた時間を働いたとみなす「裁量労働制」の見直しに言及した。高市首相は昨年10月の就任時、上野賢一郎厚生労働相に「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和検討」を指示しており、具体策を示した形だ。裁量労働制を拡大する方向で検討を進めるとみられる。

 裁量労働制には、システムエンジニアや記者、証券アナリストなど20職種が対象の専門業務型と、所属企業の事業運営の企画・立案などが対象となる企画業務型がある。仕事の手段や時間配分などは労働者に委ねられる。実労働時間に関わらず、あらかじめ決めた時間を働いたとみなすことから、長時間労働を助長しかねないとの指摘がある。

 高市首相は20日の衆参の施政方針演説で、「働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直し、副業・兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます」と述べた。

 裁量労働制の拡大の是非は、昨年から労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で議論されてきた。経団連は過半数労働組合がある企業での拡大を求めているが、連合は「(長時間労働を防ぐ)働き方改革の趣旨に逆行する」として強く反対しており、議論は難航しそうだ。連合の芳野友子会長は19日の記者会見で、「実際には業務量や労働時間の配分が自分で決められない」といった現場の声を紹介し「制度の拡充ではなく適正運用の徹底を」と訴えた。

 政府は今後、首相直轄の日本成長戦略会議や労政審で検討を進める方針だ。

この記事を読んでふと思いました。

「高度プロフェッショナル制度」と「裁量労働制」の違いって何だろう?

高度プロフェッショナル制度とは、特定の高度な専門知識を持つ高収入の労働者を対象に、労働時間、休憩、休日、深夜の割増賃金に関する労働基準法の規定を適用しない制度である。裁量労働制とは、労働時間を労働者の裁量に委ねる雇用形態であり、労働基準法の規定は適用となるので残業代は支払われる。

こんなことを問題としているんではありません。両者とも労働者に長時間労働をさせるのに、(事実上)残業代を支払わないずるい制度であることには変わりないじゃないかと言いたいのです。

私は、「裁量労働制の拡大」には反対です。悪用する連中が必ず出てくるからです。「フレックス制度の拡大」で十分だと思うからです。

でも、世の中には「時間を気にせずにもっと自由に働きたい」という奇特な方もいらっしゃる事は事実です。そして、その奇特な方が世の中を変えていく可能性を多く持つという事も事実です。

そこで提案です。「裁量労働制」を適用される労働者に「最低年俸制」あるいは「最低月給制」を導入することはどうでしょうか。「高度プロフェッショナル」で既に導入されている最低年俸は1075万円です。裁量労働制が適用される労働者には、最低月給100万円とするなら、きりがいいと思います。いえ、いっそのこと労働基準法第41条で規定する「管理監督者」についても、それくらい払うように法律で規定してみたらいかがでしょうか。残業代ゼロなら、それくらい当然です。

ひどい話です

(山梨県立まきば公園・北杜市、by T.M)

集英社オンライン 2/8

子どもの小学校入学に伴い、保育園の登園時間より小学校の登校時間が遅いため、朝の子どもの居場所に困る「朝の小1の壁」問題。この問題への対応として、早朝に校門を開ける取り組みを進める自治体が増えている。そうしたなか、群馬県高崎市も今年4月から、市内すべての小学校58校で開門時間を午前7時に前倒しする方針を発表した。

共働き世帯の支援策のように見えるが、教職員組合らは強く反発している。現場では何が起きているのか。全群馬教職員組合の田中光則委員長に話を聞いた。

昨夏に突如発表された「7時開門事業」に現場教員らは“寝耳に水”

「昨年7月7日、市は令和8年度から7時開門事業を実施すると発表しました。地元紙などは『小一の壁対策』と好意的に報じましたが、現場の教職員にとっては正直、寝耳に水でした」(全群馬教職員組合の田中委員長、以下同)

市が発表した事業は「校務員が午前7時に校門を開ける」というものだ。しかし、児童の登校時の見守り体制や、トラブル発生時の対応などについて、検討された形跡は「一切なかった」という。

(略)

「市教委に『教員が早く出勤することを前提にしているのではないか』と問うと、『教員も管理職も7時に来る必要はない』という回答でした。

いっぽうで、トラブル発生時の対応については、『そのとき居合わせた教員が対応する。今もそうしているでしょう』と言うのです」

教員の出勤時間は午前8時15分だが、実際にはもっと早く出勤している職員も少なくない。

私が横浜西労働基準監督署の第一課長をしていた平成12年のことです(今回は実名書きます)。神奈川労働局から、「昼休みの電話当番を管理職で回せ」という通達が来ました。それまでは、昼休みにかかってきた電話は、何となく職場にいた職員が取っていました。それを管理職が処理しろというのです。当時の横浜西労働基準監督署は2階建てでした。そして、労働相談等は1階の第一課で行っていたため、昼に電話当番するのは私1人ということになりました。私は神奈川労働局に電話して、「昼当番で必ず昼は庁舎にいることになったから、昼にまたがる業務はすべてキャンセルします。だから、年度当初に作った計画通りに業務がすすみませんけどいいですね」局の回答は「現場でなんとかしろ」ということでした。私はしょうがないので、電話当番を一課の職員の輪番制とし、休憩時間をずらすこととしました。仕事の都合上で休憩時間が取れない時は、早退も可としました。ちなみに、昼に電話当番しても残業代はでませんでした。これらをすべて、私の判断で行いました。

  私は法律違反をしていました

別に、倫理的にまずいことをしていたのではないので後悔はしていません。しかし、こんなことを現場任せにした上局には、今でも言いたいことがたくさんあります。

上記の新聞記事を読んで、こんな昔話を思い出しました。しかし、昔も今も上のやることって変わりませんね。結局、自分たちがいいアイディアだと思っていても、実際は現場に丸投げということです。

いつもは労組にきついことを言ってますが、今回の騒動は組合に頑張って欲しいとしみじみ思います。