(山梨県大月市で撮影、カタクリの花、M氏から頂きました)
安全課の表彰担当者であった時に、表彰事業場の事蹟を作成しようとしたところ、各署が作成する「表彰の理由」に、このアピールポイントがほとんど記載されてなく、表彰理由について「安全管理体制、安全教育、労働安全衛生マネジメントシステム、リスクアセスメント」等が述べられているだけなので、事蹟が書けず困ったことがありました。
安全管理体制等が優良なことは、表彰される会社にとっては、あたり前のことです。この「あたり前」のことをマンネリ化しないような、継続できるような努力を各会社は必ずしているはずなので、それこそが表彰理由となるのです。
この「あたり前の継続」は、尊くて難しいものです。そして、その継続が存在する限り、無災害1億時間も夢ではありません。
そんな訳で、事蹟を書く時に、署が記載した文書を無視して、会社作成の資料に目を通してみました。すると、すべての事業場で、このことについて何らかの独自対策を行っていることが判明しました。
例えば、「安全道場」なるものを企業内に作成し、活用している事例がありました。「安全道場」というのは、なんとも素晴らしいネーミングだと思いました。実態は、安全衛生に係る研究機関であり教育機関なのでしょうが、そのネーミングに会社の意気込みを感じます。ところが、署の報告書では、その活動の実態が一切記載されていませんでした。また、あるコンプレッサーメーカーの企業のトップによる「安全宣言」は、それは美しく詩的で、私は思わず表彰式の神奈川労働局長の挨拶文にその一節を導入して下案としてしまいました(私は退職時にその文章のコピーを持ってこなかったことを後悔しています)。
労働局という役所は、企業の不手際を指摘することには長けていますが、褒めることが苦手なのです。もちろん、これは労働局が、基本的に取締り機関であることが理由です。