(チャップリン作、「モダンタイムス」より)
1936年に制作された、チャップリンの「モダンタイムス」の話です。
チャップリン扮する工場労働者は、ベルトコンバヤーの流れ作業に従事していますが、長時間労働を続けたあげく、機械に巻き込まれるというトラブルに会い、精神を病んでしまいます。彼(チャップリン)は精神病院に入院しますが、退院した時には会社から既に解雇されていて、紆余曲折の末ホームレスとなってしまうのです。その後、彼はポーレット・ゴダール扮する少女と出会うことにより、精神が救済され、少女と一緒に現実に立向かうため旅立つところで映画は終わります。
ポーレット・ゴダールのような女性に出会えるなら、このような人生もまたいいかと思えますが、現実の社会ではなかなかこうはいかず、メンタル不調に陥った時点で、生活に色々な支障をきたすことが実際ではないでしょうか。
現代の日本で、過労が原因で労災事故にあった労働者が、そのトラウマからメンタル不調となり休業したならば、確実に労災認定されますし、病院に長期入院したとしても、解雇されることはなく、職場復帰を会社は待つということになります。そのような社会的なフォローは、チャップリンの時代より現代の方が整備されています。
しかし、今でも通用するシチュエーションを描く映画を、80年前に作ったチャップリンは、やはり天才だったのでしょう。
(それとも、労働問題の本質は80年前とあまり変わっていないということでしょうか)
さて、今回からは「過労死等を考えるというテーマ」でブログを書きます。
私が新監であった頃の30年前は、まだ、過労死の認定基準もなく、厚生労働省の正式見解としては、「人は過労が原因では死なない」というものでした。
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