大阪市のボランティア

(現在の御殿場線である旧東海道本線を走ったデゴニ・山北駅にて、by T.M)

お久しぶりです。

3週間ぶりのブログ更新です。今回はこの話題を取り上げます。

11/8  ABCニュース

 府と市は10月19日からそれぞれの職員らを対象に、優勝パレード当日に約7時間にわたり、現地で来場者案内や交通規制などを担当するボランティアを募集していました。

 目標人数は府と市あわせて3000人で、11月7日の締め切りまでに約2400人以上が集まったといいます。 

 大阪市の横山市長は「必要な人数に達した」と説明しました。

 ただ、大阪府関係職員労働組合によりますと、募集は通常業務と同じく、各部局の上司から部下へとメールで周知されており、「断りづらい」と戸惑う職員の声もあったということです。

 一方、パレードのもう一つの会場となる兵庫県は、神戸市とあわせて1500人の職員を集めるのが目標で、当日は大阪とは違い「公務」として休日出勤扱いとし、代休の取得を促していくといいます。

 大阪府の職員の間からは「兵庫県のように公務扱いにしてほしい」、「なぜ大阪府だけボランティアなのか」との不満の声も上がっています。

 横山市長は取材に対し「いろんなご意見があるのは承知していますが、前向きな気持ちでボランティアに参加していただきたい」と話しています。

 パレードをめぐっては、大阪府などで作る実行委員会が実施費用約5億円をまかなうため、クラウドファンディングを呼び掛けています。

これ、まずいですよ。民間企業でこれをやりはじめたら、たいへんなことになりますよ。というか、民間企業がこれをやったら、労働基準監督署が摘発しますよ。

私の知っている会社で、このようなことをやっている会社がありました。30年以上前の昭和の会社の話です。そこは建設会社だったのですが、週に1回、職員が朝早く来て、会社の回りの道路や近くの公園を清掃していました。会社は、職員が自発的に行うボランティア活動ということで、その清掃活動に関する賃金を支払っていませんでした。その会社の職員から、この活動はサービス残業ではないかとの申し出があって調査したのですが、けっこう悩みました。結論は、やはり労働時間としては認められないという結論になりました。次のような事実があったからです。

1 会社の業務とボランティア活動は無関係である。

2 会社の親睦会が主体となってボランティア活動をしていた。親睦会の会長は、若手職員が務めていて、親睦会内部の連絡はすべて「会長名」で行われていた。

3 清掃活動には、社長が参加することもあるが、社長の訓示等は清掃活動中に行われていない。

4 出欠の記録はつけていない。

5 補助金は会社からでていた。その補助金の一部は、ボランティア活動中に災害が発生した場合の保険代に使用されていたが、それ以外の予算の使い方は、会社から口出すことはなく、会長が管理していた。

まあ、会社終了後の親睦会の飲み会やクラブ活動と同等のものだと考えざるえませんでした。

(もちろん、会社終了後の飲み会であっても、その出席が会社上司によって強制されれば、それは「労働時間」として認められます。)

今回の大阪のケースであると、優勝パレードの来場者案内や交通規制などは、「労働」にあたる可能性が高いと思います。それは次の点からです。

1 「来場者案内」や「交通規制」は、大阪府や大阪市の業務と直接に関わりがあるのではないか?

2 「各部局の上司から部下へとメールで周知されている」のであれば、それは組織内の指揮命令によるものではないか?

民間企業のお手本にならなければならない行政機関が、労働基準法違反の疑いがある行為はやめて欲しいと思います。

あと、それからもう一つ。職員がボランティア活動中に事故にあったらどうするつもりでしょうか。まさか、ボランティア活動で公務災害の認定はできません。前述の会社の場合は、ボランティア活動について保険に加入していましたが、大阪市はそのような対策はされているのでしょうか? 

大きな事故が起きて、事故発生後に仕方なく公務災害認定をしたら、「ボランティアは実は公務だった」ということになり、「賃金不払いだった」ということになります。そんなことになったら、目を当てられないと思うのですが、横山市長はそんな危惧はしないのでしょうか。