
(箱根からの駿河湾夕景、by T.M)
私が監督官時代にトラブルを起こした事案です。トラック会社なんですが、従業員は30人くらいでした。給料はなかなかよかったのですが、何と社会保険に未加入でした。そこで、社会保険に加入するように話しをしたのですが、怒り狂ったのは労働者たちです。「余計なことをするな」と労働基準監督署に数人で怒鳴り込んできました。今でも、暴力をふるいそうな勢いで、閉庁時間後も監督署に居座っていましたが、警察を呼ぶとの警告でようやく帰りました。彼らの怒りの原因は「社会保険料が給与から控除される」ことへの怒りです。自分たちの手取り額が減ることが許されないですよね。この件は、当時は存在した社会保険事務所にまる投げしましたけど、その後はどうなったんだろ・・・
さて、最近社会保険料が高い等の苦情が多いそうです。確かに、少子高齢化を放置してきたため、昔より社会保険料がバカ上がりしているようです。以前よりこのブログでは、「タクシー会社が残業代を支払わない方法」や「労働時間を制限時間以上行う方法」等の脱法行為を考えてきました。今回は、「社会保険料を払わなくて、給与を上げて、労働時間規制に関係なく働く方法」です。
(注)これはあくまで、頭の体操で遊びです。こういう脱法行為が嫌いな人はこれ以上読まないで下さい。
例えば、現在人手不足が深刻な、宅配便の現場についてです。宅配便は、配送センターに複数のトラック屋が出入りします。そのトラック屋さん、3社の協力してもらい、3社すべてと労働契約を締結するのです。その締結内容は、A社は1日9時間労働で月・火労働、B社は水・木でやはり9時間労働、C社は金・土で9時間労働です。これだと、どの社も1日9時間週18時間の変形労働時間制ですので、どの社も残業代をはらわなくてかまいません。合計すると、ひと月60時間近い残業をしていることになります。(注:例えば、土曜日の労働はすべて、「休日労働」でなく「時間外労働」にカウントされる)
また、労働基準法第38条で複数企業の労働者となった場合は「労働時間の規制は通算する」ということになっていますが、どの社が過重労働労働をしているか分かりません。
なによりも、社会保険料の控除がなくなるので、労働者は喜びます。
そして、もっと喜ぶのは社会保険料の事業場負担分を払わなくてよい会社側です。
やがてくる年金受給開始年齢で困ことや、過労による健康障害を考えなければ、これは素晴らしい案だと思います。
蛇足ながらつけ加えると、高度成長期に出稼ぎ労働者に対し、某大手自動車会社と某大手鉄鋼会社が実際にこのようなことをしていました。6ケ月ごとに労働者を交換することで、雇い止めをしやすくしていたのです。
そんな訳で、私の案も頭のいい奴は現実にやっているかもしれません。多分、監督署は脱法であっても合法なので摘発できないでしょう。困ったものです。