お休みです

(世界文化遺産の小菅修船所・長崎、by T.M)

来週本当に仕事がきついです。

ある資格について、法定研修の「労働基準法」の講師をします。

某労働基準監督署で、中小企業の方々に労働安全衛生法の話をします。

安全診断は2件あります。本当に人使いの荒い会社です。

そんな訳で、下調べがあるんでお休みします。

女性の方へお薦めします

(五十里・栃木県日光市川治温泉、by T.M)

突然ですが、1ヶ月ほどブログを中断します。
年末にかけて、講演会が2つ、安全教育が4つ、企業の安全診断が3つ入っています。休日労働が必須となってしまいました。12月20日過ぎに再開します。
この期間に、私の親友のT.M氏(某地方労働局の現役技術系職員)、もしくはこのブログでまだ紹介していない(某地方労働局の事務系職員)に代筆を依頼しようかと思っています。
中断中も、このブログを時々覗いて頂きたく、お願いします。

先日、安全衛生担当者が集う研修会に出席しました。かなり専門性の高い会合で約100人くらいの人が参加していましたが、皆年齢の高い男性ばかりで、一番若い人でも50歳代前半くらいでしたが、事務局を含め会場に女性が一人もいなかったことが異様でした。
工事現場の監督や生産工場の工場長に、最近では女性を見かけるようになりました。私が労働基準監督官となった35年前には考えられないことです。現場での責任ある仕事は、突発的な事案に対応する能力を求められるので、時間が不規則になりがちです。昔は家事・育児を全て女性に押し付ける風潮がありましたので、女性が事務でない現場での仕事を行うということは、確かに難しかったかもしれません。「イクメン」という言葉が定着した現代では、工事現場の事務所で、慣れた手つきで安全帯を身に纏う女性現場所長に出会うこともあります。
(注)「安全帯」のことを「墜落制止用器具」なんて呼びたくはありません。

でも、だったら女性の方、安全衛生の現場に進出してきて下さいよ。この世界に飛び込むのには、「労働安全コンサルタント」か「労働衛生コンサルタント」の資格を取得することが早道です。私の知合いの福岡の社労士は、この資格がなくても企業から依頼され安全パトロールなんぞをしていますが、それは自他共に認める圧倒的なキャリアがあってこそできることであって、自分の能力を客観的に証明するためには、資格取得が必要です。(もっとも、「資格」だけ持っていても、「経験」がなければ務まらないのは、どこの世界でも一緒ですが)

安全コンサルタント試験には、5つの区分があります。「機械」「電気」「化学」「建築」「土木」ですが、このうちどれかひとつを選択し受験する訳です。衛生コンサルタントは、「衛生工学」「保健衛生」の2区分です。このうち女性が、辛うじているのは「保健衛生」のみです。他の区分では、私が知る限り一人もいません。そして「保健衛生」のコンサルタントで十分な収入を得ている人は、この資格以外に医師や社労士の資格を持っている人がほとんどで、「保健衛生」のコンサルタントの資格オンリーでは収入確保は難しいです。(お医者様は、このコンサルタントの資格を取得すると、「産業医」の資格も自動的に取得できるので、需要が高いのです)
もっとも、他の安全衛生コンサルタント資格と違い、「保健衛生」区分は文科系でも受験可能なので、社労士業務の補助資格として活用するのは、非常に有効です。

理系の女性で、現場仕事の経験のある方。ぜひ、安全コンサルタントか「衛生工学」の衛生コンサルタントとなって下さい。マイナーな資格だけど、ニッチの業界として需要は確実にありますよ。何しろ、私がなんとかなっているんですから

 

大阪労働局の不正

(奥の細道の松尾芭蕉と門人曾良の銅像・栃木県大田原市黒羽、by T.M)

大阪労働局、最低賃金の調査で不正 職員が回答水増し

朝日新聞 20198270530

大阪労働局は26日、最低賃金を決める参考に使う統計調査に不正があったと発表した。零細企業の賃金水準を把握するもので、回答数が足りなかったため少なくとも5年間、担当職員が調査票を水増ししていたという。同日付で職員を停職1カ月の懲戒処分にした。

 この統計は「最低賃金に関する基礎調査」。中小零細企業の毎年6月時点の従業員数や時給などを調べている。労働局によると、資料が残る2014~18年の5年間で、1527件が企業の調査票そのものを捏造(ねつぞう)し、従業員数を書き換えるなどしていた。対象企業の約6%で不正があったとみられるという。

 今年の最低賃金の決定にあたり、過去の調査票に不自然な点があると担当部署が気づいて発覚した。労働局は、不正をした職員を懲戒処分とし、職員の指示を受けて不正に携わった部下を戒告、当時の上司2人を訓告処分にした。

 厚生労働省が実施する労働関連の統計をめぐっては近年、重大な不正が相次いでいる。今回、労働局は記者会見を開かず、処分対象者の性別や年齢も明らかにしなかった。大阪労働局は「最低賃金は様々な要素を考慮して総合的に決めている。今回の不正は引き上げ額には影響していない」としている。

今週は「京浜急行の事故」について、労働安全衛生コンサルタントとして、あるいは同社の通勤利用者として論じようかとも思ったのですが、前述の記事について、元労働基準監督署の職員として書くことにしました。

この問題について書く前に、最低賃金がどうやって決定されるかについて、御説明します。最低賃金法によると。最低賃金は「厚生労働大臣又は地方労働局長が決定すること」になっています。しかし、地方労働局長はむやみに最低賃金を改正できる訳ではなく、「地方最低賃金審議会の意見」の意見を聴かなければなりません。つまり、この審議会で決定された金額が最低賃金額となるのです。

この審査会は、地方労働局の賃金課(現在は賃金室)が事務方となり、毎年6~9月にかけて数回にわたり(最賃が決定されるまで)開催されるもので、メンバーは、労働側委員・使用者側委員・公益側委員の3者構成です。3者の数は同数選任され、労働側委員はその地方で最大組織の労働組合、要するに「連合」系労働組合から選出されます。使用者側は地方の経済団体です。公益側は、大学教授、新聞社の論説委員、弁護士等です。役所は黒子に徹します。

私は、地方最低賃金審議会を直接に見聞したことはないのですが、担当していた者の話によると、各委員は非常に熱心に討論し、熱心すぎて「労働側」と「使用者側」では絶対に意見が一致せず、公益側委員が両者を宥めるのが常だということでした。議事進行は会長(法の定めにより公益側委員より選出)に委ねられているそうです。

さて、この審議会に提出される資料の主たるものは、「賃金構造基本統計調査結果」及びその分析資料です。この賃金構造統計調査について

「本来、個別事業場への訪問調査すべきところを、労働局では通信調査を行っていたという不正があった」

という件について、本年1月に問題となりました。そして、「通信調査」の実態については、このブログの2月3日の記事で、私の体験をお話ししました。また、この件については、「本省も通信調査の実態を知っていた」という新聞発表を2月1日に本省が行い、現在その発表文が本省のHPに掲載されています。

さて、今回大阪労働局で不正行為のあった、「最低賃金に関する基礎調査」についてですが、私はこの調査については知らなかったのですが、地方労働局の賃金課(現在は賃金室)が行うもので、賃金構造統計調査が1年くらいかかって結果を取りまとめるのに対し、その年の6月の賃金の状況をリアルタイムの結果として、審査会時に手持ち資料として委員に提出するもので、審議会に絶対に必要な重要資料だそうです。

私の知合い(某地方労働局の元賃金課職員)に、今回の大阪労働局の不正について意見を尋ねたところ、「通常ではまったく考えられない、不正だ」ということでした。

賃金構造基本統計調査の不正は、調査方法を簡略化するいわゆる「手抜き」ですが、調査結果について労働の現場の実態からの乖離はないと思います。今回の大阪労働局の不正はデータの「捏造」です。この捏造は、最低賃金の結果に影響を及ぼす悪質なものだという、元担当官の見解でした。

彼曰く、さらに悪質なのが、大阪労働局のこのコメントだそうです。

「最低賃金は様々な要素を考慮して総合的に決めている。今回の不正は引き上げ額には影響していない」

金と時間をかけている調査が、本来の目的である「最低賃金の決定」に影響を与えないのなら、「そもそも、そんな調査は辞めてしまえばいいだろ」というのが、元担当官の意見です。私も同感です。

大阪労働局が起こした不正は、真面目に仕事をしている他の労働局職員の業務を汚すものです。全国の賃金室の職員は憤慨していると思います。

これは大阪労働局の体質に関係しているのかもしれません。実を言うと、監督官サイドから見ても、大阪局は少し独特の仕事をしているように思えるところがあります(具体的な事例は、今後披露していきたいと思います)。

不正のないように、職員の業務の見直しを徹底してもらいたいと思います。

 

尾瀬紀行~T.M氏より

今週は、私のブログを休みます。

本日、台風10号が来ているのに、飛行機に乗ります。恐いです~

私の記事の替わりに、毎週写真を提供してくれているT.M氏(現役の某地方労働局の技術系職員)の紀行文です。

まずは写真から。

はるかな尾瀬 〜花の旅、山の旅〜

今年は梅雨明けが遅く、8月に入りようやく夏空が見られるようになり、同時に高温多湿の気候がもたらされる季節になりました。

この季節の休日は、私はエアコンが嫌いなので、自然で涼しい場所に避暑することにしています。

今回は、私の避暑の体験にお付き合いいただければと思います。

7月下旬、涼しい尾瀬に、尾瀬沼の山小屋に泊まりながら、大江湿原のニッコウキスゲの鑑賞と、燧ヶ岳(ひうちがたけ)登山に行って来ました。

この時期の尾瀬は、朝夕は10℃前後と肌寒く、日中は30℃前後まで気温が上がり結構暑く、一日の気温差が大きいのですが、湿度が低いためとてもさわやかな気候です。

一言で尾瀬と言いますが、尾瀬は尾瀬国立公園に属する地域で、代表格の尾瀬ヶ原に始まり、尾瀬沼、大江湿原、あやめ平、三条ノ滝、平滑ノ滝、至仏山(しぶつさん)、燧ヶ岳、会津駒ヶ岳などと広範囲に多くの見どころがあります。

大江湿原のニッコウキスゲは、福島県の雄国沼、長野県の車山(霧ヶ峰)に勝るとも劣らないほどの大群落を形成し、今年の大江湿原は、昨年よりも花の数が多く、湿原が黄色に染まるほど、見事な咲きっぷりでした。(写真をご覧ください。)

一日湿原を歩いていると、太陽を遮るものがほぼないため、結構日焼けし、真っ黒になってしまいました。

登山した燧ヶ岳は、国内では東北地方以北の最高峰で、柴安嵓(しばやすぐら、標高2,356m)、俎嵓(まないたぐら、標高2,346m)の二つの峰を持つ双耳峰の山で、眼下に尾瀬沼と尾瀬ヶ原、見上げると至仏山、会津駒ヶ岳、平ヶ岳、会津磐梯山などの山々の展望が実に見事です。

尾瀬へは、喧騒がない福島県檜枝岐村の七入(なないり)の登山口から入り、江戸時代の交易の道であった会津沼田街道をたどり、静かな山旅が楽しめました。

皆様も、暑いこの季節(今年は異常に暑いですね!)、市街地を離れ、避暑に行かれてみてはいかがでしょうか。