普通の日記(29年8月8日)

(NY セントラルパーク レノンの記念碑)

先週飛び込んできた、労働問題系に係るビッグニュースは「トヨタの裁量労働時間制」と「労働時間把握義務を法制化」の2つでした。今日は、このうち「労働時間把握義務を法制化」について、感想を書きます。 

今年の1月に、厚生労働省は「労働時間適正把握のガイドライン」を公表しました。しかし、これは強制力をもつものでないので、このガイドラインを法制化しようというもののようです。内容は、「労働時間の把握について『客観的で適切な方法で行わなければならない』などの文言を盛り込む」といったようなものです。 

この改正はとても良いことのように思えます。なぜなら、労働時間規制の基本は労働時間の把握にあり、これができないと、労働者を過重労働(過労死)から守れないからです。私はこの件について、厚生労働省の方針を100%賛成します。 

しかし、疑問点は2つあります。

ひとつは、「なぜ、労働基準法の改正でなくて、労働安全衛生法なのか」

ふたつ目は、「なぜ、労働安全衛生法の法自体の改正でなくて、政令(労働安全衛生法施行令)の改正なのか」といったことです。 

次の国会で、労働基準法の改正案が政府から提出されるということなので、それに併せ「労働時間の把握」を法制化するのが筋のような気がします。もっとも、労働安全衛生法は労働基準法と違い、使用者(個人・自然人)に責任を負わせるのでなく、事業者(法人)に義務を負わせる法律。労働安全衛生法は労働基準法と比較し、新しい法律なので、それだけ論理性がしっかりしているので、そちらで規制するのも良いのかもしれません。 

二つ目の疑問点の「政令の変更」ということについて書きます。政令は法の裏付けにより、内閣が発する命令なので、法改正と違い国会の決議は不要です。従って、法改正より容易な点がいいのですが、「罰則がつく条文」に基づく命令となるのかが、新聞記事では判明していません。つまり、今回の政令改正では、「労働時間の把握が強制義務にならない」可能性もあります。

ぜひ、今回の政令改正は、「罰則付き」のものであるように願います。