(フクロウ・大宮公園小動物園、by T.M)
時事通信社 6/25
政府は25日の閣議で、鹿児島県警が捜査書類の速やかな廃棄を促す内部文書を2023年10月に作成していたとする答弁書を決定した
作成に関する処分などについては「県警で適切に判断される」と記すにとどめた。立憲民主党の長妻昭政調会長の質問主意書に答えた。
答弁書によると、捜査員向けに作成した「刑事企画だより」の中で「再審や国賠(国家賠償)請求等において、廃棄せず保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません」との記載があった。
同県警では、不祥事に関する内部文書を第三者に漏らしたとして前生活安全部長が起訴された。前部長は「本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽(いんぺい)しようとしたことが許せなかった」と主張している。
役所には必ず文書保存規程というものが存在します。各文書によって、保存規程が決められていて、労働局の場合は、「36協定ならば〇年」「申告処理台帳なら〇年」というようなものです。なかでも別格扱いされる書類があります。例えば、司法関係書類ですが、これは「永年保存」ということになっています。他に永年保存のものですが、例えばアスベスト関係の祖類だとか、許認可類の書類です。
この文書保存規程ですが、各省庁によって文書の取扱い方に違いがあるようです。ある役所では、永年保存となっているのに、他の役所では「3年間保存」ということになっているケースもあるようです。特に記事にあるような捜査関係文書の取扱いについては、監督署、警察、検察長、裁判所でそれぞれ違うようです。
文書保存年月日が決められている理由は、「ともかく書類が溜まっていく」ということと、「担当官に破棄する度胸がない」「何を捨てるべきかの判断がつかない」ことにあります。そこで、「みんなで渡れば怖くない」という論法で、「内容は関係なく、文書の分類(これも役所が勝手に行うもの)と保存年月日」が揃うものを片っ端から廃棄する訳です。
酒鬼薔薇聖斗を犯人とする神戸児童連続殺人事件の事件記録が神戸家庭裁判所で廃棄された背景には、このような役所内の決まりがあります。
話は変わりますが、「マイナンバーカードの普及」はどうなっているのでしょうか。マイナンバーカードについては,色々と言いたい人はいるでしょうが、役所のペーパーレス化には絶対に必要なものです。どれだけの行政改革になることでしょうか。
役所の利便性のため、国民に負担をかけるのかという意見もあるかと思いますが、役所の効率化は国民のためのものであり、次世代に残す財産です。
電子データで行政に関する資料は全て永年保存することが理想だと思います。
話は戻ります。「機械的に書類を廃棄」していく業務について、担当官がどうしてもこれだけは残して欲しいと思うものがあります。私が在籍した時の労働基準監督署でしたら、悪質事業場の申告処理台帳等がそれに該当します。「これは念のためです。」といって、代々担当官どおしで引き継いでいくものです。文書保存規程とは、「保存期間が過ぎたら文書を廃棄してもよい」という規程であって、「保存期間が過ぎたら文書を廃棄しなければならない」という規程ではないという現場の判断です。
さて、上記の新聞記事について、問題なことは鹿児島県警が、「理由はどうあれ文書保存期間が過ぎたら文書を廃棄しろ。後で捜査の瑕疵がみつかったらやばいだろ」と言っていることです。もちろん、「文書保存期間」が過ぎた書類から「情報漏洩」でも発生すれば、それは問題です。しかし、文書保存期限が過ぎても書類を残すということは、現場の判断が多々あったと思います。現場の方が、「やばいもの」は残そうとする正直さがあるので、上層部はそれが煩わしいので一方的な書類破棄の命令をしているように思えます。