退職代行

(カピバラ・山梨市の万力公園、by T.M)

英社オンライン 1/7

多くの企業で仕事始めとなった1月6日、退職代行サービス『モームリ』では過去最高の依頼が寄せられた。今回の年末年始の休みは12月28日から1月5日で、“奇跡の9連休”とも言われていただけに、仕事にいくのが億劫になってしまった人が例年以上に多くいたようだ。

このブログで以前から私は、「退職代行サービス業」というものを非難してきました。理屈は色々あるけど、ようするに「利用する人」も、「運営する人」も嫌いなんです。これは、私の好悪の感情に関係することなので、他人の意見は受付ません。

「単なる他人の手続き」に手を突っ込んで儲けようとするヤツと、退職手続きさせまともにできないような者を相手にする必要がないと思っていました。私が監督官現役時代にも、「こわくて退職手続くができない」という相談には、「誰かと一緒でかまわないから、退職の意志表示はご自分でして下さい」と言ってきました。なぜなら、退職手続きを明確にしてくれないと、後から問題が起きた時(賃金不払いとか、退職金不払いとか)に、会社側から上げ足を取られたら、対応が取れなくなってしまうのです。例えば、「無断欠勤のまま退職してしまった場合」等については、ほぼ100%賃金の回収は不可能です。

ですから、退職代行サービスの記事を読む場合は、退職トラブルが起きたらどうしているのか、少し心配になります。例えば、退職金の支払いについて、会社側が次のように主張したらどうするのでしょう。「退職金は直接本人に手渡しをするので、会社までとりにきて下さい。定期賃金については銀行振込の約束はしていません。だから、労働基準法の原則に基づき、直接、本人に、通貨で支払います」

そんな訳で、退職代行サービスにいい感情を抱いていなかったのですが、先日ある退職代行サービスの作ったユーチューブ動画を観て気が変わりました。その動画の中では、DQNの依頼者に振り回される退職代行サービスの様子が描かれていました。その動画を見て、「宣伝では、ブッラク企業から労働者を守るなんてカッコつけているけど、実際はおかしな労働者に困っているんだ」と安心したのです。

私が監督官になった時に、先輩からこう言われたことを思い出します。「災害調査等と比較して、労働者からの申告処理というのはたいへんだろ。それには、理由があって、申告処理というのは、①企業が悪質、②労働者が悪質、③企業と労働者が両方とも悪質、のどれかしかない。要するに、企業も会社も良かったら申告事案なんておきないんだ。要するに、監督官は申告処理の最中には、必ずおかしなヤツと出会うということだ。」

これ、退職代行サービスにも言えるのではないでしょうか。「退職代行サービスが利用されるケースは、①企業がブラック、②労働者がDQN、③両方ともバツ」 まあ、退職代行もけっこう大変な商売なんだなと思いました。